南西石油事故最多 抜本的な再発防止策示せ


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 南西石油・西原製油所の事故発生率が全国的にも突出して高いことが分かった。消防庁によると、2011年に県内の石油基地で発生した事故は軽微なものも含めて10件発生しているが、いずれも西原製油所で起きている。1事業所当たりの発生件数は西原製油所が全国最多となっている。国内にある715事業所の平均事故発生件数は0・3件で、西原製油所はその約33倍だ。事故の多さは異常だ。

 今月19日にはガソリン製造装置の加熱炉内でガス爆発事故が発生している。衝撃で加熱炉の壁が約4メートル破壊しており、事故の大きさが分かる。南西石油は県に事故原因を「点火前に実施すべきガス濃度測定を怠ったため、爆発が起きた」と報告した。安全手順を踏まえなかった人的ミスが起きたというわけだ。組織の指揮系統がたるんでいると言われても仕方がない。
 この製油所での事故は今年に入って3度目だ。6月には塔底油ポンプの緊急遮断弁(バルブ)付近から重油が漏れだして出火する事故も起きている。ポンプが建設されてから約40年が経過しており、隔壁が腐食していた可能性が高いという。安全点検や十分な改修を進めているのか甚だ疑問だ。
 05年には海上に延びる送油管から軽油が漏れる事故が起きている。原因は送油管の下部が腐食したものとみられている。03年に発生したパイプからの原油漏れ出し事故も配管の腐食によるものだった。3カ月前の定期点検で腐食が見つかっていたのに、交換していなかった。同社は「施設の稼働を止める必要もあり、タイミングをみていた」と説明した。危険回避よりも稼働、つまり利益を優先するような経営体質は倫理上問題だ。
 民間信用調査会社によれば、南西石油の12年の売上高は2378億円で県内企業で3年連続首位を占めている。生産面だけでなく、施設の安全確保によっても、企業の社会的責任を果たすべきだ。
 過去の事故では情報公開の在り方でも問題があった。10年の大型タンカーの桟橋衝突事故による重油流出では、廃油が漂着した南城市に事故を伝えたのは発生翌日だった。ほかの事故でも地元通報が何度も遅れた。
 現状のままではいつ大惨事につながる事故が起きても不思議ではない。南西石油は事故再発防止のための抜本的な対策を県民に示してほしい。