野党幹部引責 抜本的な改革で立て直せ


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 与党の自民党が圧勝した参院選の結果を受け、野党の民主党と社民党の幹部の辞任が相次いだ。

 敗北の責任を取ってけじめを付けるのは必要なことだが、その理由や背景などを考えると、党立て直しの道のりは険しいと言わざるを得ない。しかし、憲法改正など重大な課題が山積する中で、野党のチェック機能は重要だ。抜本的な改革で再生を図り、野党としての存在感を高めるよう努めてほしい。
 民主党は党内から代表選実施を求める声も強かった中で、細野豪志幹事長が辞任し、海江田万里代表が続投となった。
 一方で、参院選の東京選挙区で党公認ではない候補者を応援した菅直人元代表を党員資格停止処分とし、最高顧問の肩書も剥奪。また、尖閣諸島問題をめぐる鳩山由紀夫元首相の発言が参院選に影響を与えたとして、既に離党した鳩山氏に抗議声明を出した。
 両元首相の影響力を排除して新生さをアピールする狙いのようだが、昨年の衆院選や参院選の敗北の原因は民主党への国民の失望と不信感にあると銘記すべきだ。
 米軍普天間飛行場移設問題での「辺野古」回帰、消費税増税など公約破りの政権運営は目に余った。その反省の上に立たなければ、信頼回復と再生はできまい。
 社民党は福島瑞穂党首が辞任した。参院選で過去3回死守してきた2議席から1議席にとどまり、沖縄出身者の比例議席も失った。昨年12月の衆院選でも改選5議席から2議席に大きく後退し、まさに崖っぷち状態と言えよう。
 社民党の比例代表の得票数は沖縄では自民党に次いで多い。普天間問題などで県民の思いを吸い上げてくれるという評価と期待が県民の側にあるからだろう。
 その存在感が薄まることは県民にとっても重大だ。なぜ全国的に無党派層の受け皿になれず、野党の中で埋没し退潮が止まらないのか。党首辞任を機に徹底的に検証して、党勢回復の活路を開いてほしい。
 憲法改正、原発再稼働、環太平洋連携協定(TPP)、消費税増税など、国政の重要課題が控えている。沖縄にとっては特に、オスプレイ再配備や普天間の辺野古移設強行などが懸念される。
 権力の暴走を許さないためにも健全な野党の存在は欠かせない。各野党は自覚と責任を持ち、与党と対峙(たいじ)してもらいたい。