集団的自衛権容認 国際社会の理解得られない

 罪のない多くのアジアの民衆を死に追いやった戦争責任、歴史認識に危うさを帯びた宰相が「平和主義が前提」といくら説明しても、集団的自衛権の行使容認に国際的理解を得られるとは思えない。

 安倍晋三首相が、憲法解釈で禁じられている集団的自衛権の行使容認、憲法改正の検討に踏み切ると明言した。シンガポール、フィリピンの首脳と会談した際の発言を明かした。
 集団的自衛権の行使が容認されれば、イラク、アフガニスタン戦争に参戦し、国民から厳しい批判を浴びた英国のように、米国主導の戦争に日本が引きずり込まれる可能性が一段と高くなる。
 国家の屋台骨である憲法とその解釈を、「時代や現実に合わせて」という理由で大きく変更することは強く抑制されるべきだ。
 他国の戦争に参加することに道を開く政策は、不戦を誓った日本が取るべき選択ではない。
 参院選で、安倍首相は、連立与党を組む公明党に配慮し、保守色が強い政策を半ば封印していた。
 自民党大勝から1週間足らずで、武器輸出三原則の撤廃や「新防衛大綱」への無人偵察機導入の明記など、右傾化に直結する安倍カラーが矢継ぎ早に打ち出され、この国のきな臭さが増している。
 政府は「日本は集団的自衛権を保有するが、憲法9条によって行使は禁じられている」という公式見解を維持してきた。
 戦争放棄を定めた平和憲法が容認するのは、国民を守るための必要最小限の実力行使だけ-というのが従来の政府解釈だ。個別的自衛権だけを認める節度ある政策は、戦後の日本が平和国家として信頼される基盤となってきた。
 安倍首相は4月、日本の過去の植民地支配と侵略を認めた村山元首相談話について、「そのまま継承しているわけではない」と発言した。政権の地金がむき出しになった発言は、中韓両国と米国から厳しい批判を浴び、修正を迫られた。
 「平和主義」を前提にすることで米国や周辺国からの「右傾化批判」をかわしつつ、集団的自衛権容認と改憲に傾斜することは、平和憲法の理念に対する背信であり、本末転倒だ。
 日本の戦争責任や歴史認識に対する確固たる姿勢を示し、中韓を含めた近隣諸国が抱く日本の軍国化に対する懸念や疑念を払拭すること抜きには、国際社会の信頼を得ることは難しいだろう。



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