NIE全国大会 「子ども主役」の新聞活用を


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 新聞を児童生徒の学びに生かす意義と課題が一層鮮明になった。キーワードは「子どもが主役」である。それを肝に銘じ、教育界とわれわれ新聞作りに携わる者がよりやさしく、より身近な新聞活用術を模索していきたい。

 新聞を学校や家庭で活用し、学習効果を高めようと、NIE(教育に新聞を)全国大会静岡大会が25、26日に開かれた。
 静岡は日本のNIE発祥地だ。NIEは「Newspaper in Education」の略語だ。新聞活用の意義や趣旨は学習指導要領にも盛り込まれ、「教育に新聞を」の言葉は定着しつつある。「『学び』発見 ふじのくにから『やさしいNIE』」をスローガンにした大会は、児童生徒の目線を大切にしなければならないという意識が浸透していた。
 基調提案した静岡県NIE推進協議会の角替弘志会長は、新聞記事を通して児童生徒がメモを取りながら授業を受けられる点を挙げ、「極めて有効な学習素材だ」と述べ、利点を伸ばそうと強調した。
 パネル討論は、教師、保護者に加え、教えられる側の児童生徒も登壇し、新聞への思いを語る異色の設定だった。受け手側の子どもたちが「NIEの授業を増やしてほしい」と要望した。
 高校で新聞部副部長を務める生徒は活字離れの現状に触れた上で、「新聞のどの点が優れているか、まだ実感できていない」と課題をずばりと指摘した。中学生代表の生徒は「新聞を取っていない友達も多い。時事問題への関心のなさを感じる。NIEの授業を増やしてほしい」と要望した。
 従来のNIE活動が、ともすると、教える側の教師や新聞の作り手側の目線に傾いていないかという問い掛けと受け止めたい。
 県内でも、学校現場のNIE活動が活発化している。30日に金武町教育委員会が開いた研修会は、町内全4校の60人余の教師が参加する画期的取り組みだった。参加者は各紙の読み比べや道徳教材作りなどの実践例に触れ、身近な教材として活用する手法を学んだ。ほかの自治体にも波及してほしい動きだ。
 「知識よりも考える力」が学力の中で重視されつつある中、実社会を視野に入れた「考える子」を培う役割がNIEにはある。児童生徒が親しみやすいNIEを意識しながら、日々の紙面作りを工夫し、新聞の信頼性を磨きたい。