米軍ヘリ墜落 理不尽は終わりにしたい


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 どれほどの痛みを被れば、沖縄は米軍の事故の恐怖から解放されるのだろう。宜野座村のキャンプ・ハンセン内に米空軍所属のHH60救難ヘリ1機が5日、墜落した。

 県民挙げての強い反対を押し切って日米両政府が垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを追加配備しようとしているさなかのことだ。もうすぐ米軍ヘリ沖国大墜落9周年もめぐってくる。そんな中での墜落だ。
 県民の犠牲の恐れがあってもオスプレイ配備を撤回せず、ヘリ基地の県内移設押し付けもやめようとしない。沖縄の人には生命を脅かされずに暮らす権利さえ無いと言わんばかりの、この国はいったい何なのか。米国も、自国では許されぬ市街地飛行を繰り返すのは人種差別ではないのか。そんな根源的な疑問がわいて仕方がない。
 復帰後の米軍機の墜落は昨年末までに県が把握しただけで43件に上る。空中接触や移動中損壊、着陸失敗など他の事故も含めると、枚挙にいとまがない。死亡者は34人、行方不明は24人に達する。
 今年も5月下旬にF15戦闘機が既に墜落しているから、今回で復帰後45件目の墜落ということになる。1年に1回以上だ。こんな県がほかにあるか。
 復帰前に目を向ければ、犠牲はもっと膨らむ。小学生ら18人が犠牲になった宮森小ジェット機墜落事故を持ち出すまでもない。
 不幸中の幸いだが、今回の事故で県民の犠牲者はいない。だが付近の松田区などには保育所も幼稚園も小学校もあり、間近に自動車道も通っていた。
 まして普天間・嘉手納の両飛行場は市街地の真ん中にあるから、沖縄で再び事故が起きれば奇跡でもない限り人身、財産への影響は免れないだろう。そんな中、損害額百万ドル以上の事故率が海兵隊平均より6割も高く、墜落が時間の問題のオスプレイを追加配備するとは、危険な人体実験としか思えない。
 実は外国軍が長期・大規模に駐留するのは第二次大戦後の現象だ。ましてこれほど一地域に集中して押し付ける
のは世界史的にもまれなのである。
 そのような理不尽はもう終わりにしたい。日米両政府が沖縄の訴えに耳を貸さない以上、仲井真弘多知事の言う「全基地即時閉鎖」しか、もはや選択肢はないのではないか。沖縄に犠牲を強要し続ける日米両政府の差別性を国際社会に訴え、事態打開を図りたい。