旭橋再開発 県経済全体の起爆剤に


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 ようやく本来の出発点にたどり着いた感がある。沖縄都市モノレール旭橋駅周辺の再開発で、中核となる那覇バスターミナル地区の複合施設が2015年度着工、18年度開業の運びとなりそうだ。

 旭橋駅は沖縄の交通の中心地とも言っていい場所だ。再開発が完了すれば交通結節点としての機能は飛躍的に高まる。周辺だけでなく、県全体への経済的な波及効果も大きいはずだ。進展に期待したい。
 旭橋再開発は、2002年に当時の稲嶺恵一知事と翁長雄志那覇市長が会見し、構想を発表してから11年がたつ。
 当時から構想の中核は那覇バスターミナル地区だ。それどころかターミナルと旭橋駅との連結こそ、隣接地の旭町も含む、再開発全体のそもそもの出発点だった。
 県内のバス網の中心地とモノレールが接続するこの地区は、間違いなく沖縄の交通網最大の要所である。他府県では、主要駅で周辺の主要施設の二階部分を歩廊でつなぐのは、当たり前の光景だ。
 駅改札と同じ階なら人々はストレスなく行き来できる。あるいは1階で雨にぬれることなくバスに乗り換えたり周辺施設に出入りしたりできれば、一帯は快適性を増す。バスやモノレールの隠れた需要も掘り起こすだろう。ようやく沖縄も他府県並みの公共交通環境を手に入れることになるのだ。
 旭町など隣接地の再開発も、本来はこうした利便性が前提になっていた。順序が逆になったが、既に再開発した地域もこれであらためて活性化しよう。県庁周辺や東町、泉崎など既存の商業地への波及効果も期待できる。公共交通が利用しやすくなれば、那覇市のみならず本島全体に人が行き来しやすいことにもなる。県経済全体への波及効果に期待するゆえんだ。
 ターミナル地区の中核施設には新県立図書館が移設されることになりそうだ。バスやモノレールという公共交通が最も利用しやすい地点に図書館が立地するのは理想的とも言え、検討委員会がこの地に絞り込んだのもうなずける。
 問題は、せっかくの交通の要路に、どれほど効果的な結節機能を持たせることができるかだ。この機にバス路線網再編も考えたい。利用客が時間的損失なく乗り換えできるよう、双方の運行時間表のすり合わせも必要だ。行政も含めた各機関の一層の連携を求めたい。