マングースからPCB 米は使用・保管歴公表を


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 県内の二つの米軍基地近くで捕獲されたマングースの体内に、ポリ塩化ビフェニール(PCB)の一種が高濃度で蓄積していることを愛媛大と名桜大の研究グループが発見した。基地から派生する化学物質や重金属類による土壌や水質の汚染は何度も指摘されてきたが、野生生物への影響が疑われるとの調査結果に、あらためて大きな衝撃を覚える。

 「周辺住民や他の生物にも及んでいる可能性がある」と報告しており、日米双方の関係者はこの指摘を深刻に受け止め、汚染源などを早急に調査するべきだ。
 研究グループは2008年8~9月に宜野湾市の普天間飛行場周辺で6匹、浦添市の牧港補給地区周辺で1匹のマングースを採取。交通事故で死んだりしたもので、その全てからPCBを検出した。
 このうちモノオルトPCBという種類の濃度は、県内の他地域のマングースの1桁以上、本土のネコやイノシシなどより1~2桁以上高い数値を示したという。研究グループは「周辺地域でトランス(変圧器)やコンデンサー(蓄電器)などからPCBが漏出している可能性」を指摘している。まずは汚染源の解明を最優先すべきだ。
 米軍基地をめぐっては過去に何度もPCBなどの有害物質による汚染が発覚していることを指摘せざるを得ない。嘉手納基地では1960年代から70年代にかけてPCB入り変圧器油が投棄されていた。その事実は99年になって明らかになっている。
 95年11月末に返還された恩納通信所からは、翌96年3月にカドミウムや水銀、PCBなどが検出された。だが米軍は返還跡地の原状回復義務を免除している日米地位協定を理由に汚泥の引き取りを拒み、本年度に至るまで航空自衛隊恩納分屯基地で保管されている。
 米軍基地返還跡地の沖縄市サッカー場で今年6月に見つかったドラム缶からは、PCBや枯れ葉剤の主要成分に含まれていたダイオキシンが検出され、市民に大きな不安を与えている。そのさなかに発覚したマングースの汚染は、県民に新たな不安と基地の環境問題に対するさらなる不信をもたらすものだ。
 これまでの事例に鑑みれば、在沖米軍は過去のPCB使用履歴や保管実績などの情報を自ら公表すべきだ。日本政府も当然、速やかに実態の把握に乗り出し、米側に情報の開示を強く求めるべきだ。