バス停の改修 利用者増促す成果を期待


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 県やバス会社などでつくる県公共交通活性化推進協議会が来年度から、路線バス停留所に雨よけのひさしやベンチを備えた上屋を設置することを検討している。本土の鉄道駅のようにバス停名を標識に大きく表示し、バス会社でばらばらな時刻表も統一するという。

 野ざらしのバス停で時刻表が剥がれていたり、上屋がなく雨にぬれてバスを待ったり。利用者の多くが長年そうした状況の改善を望んでいたことと思う。来年度と言わず、すぐにも始めてほしいくらいだが、まずは取り組みを歓迎し、バス利用向上につながる成果を期待したい。
 復帰した1972年度に1億人を超えていた県内乗り合いバス輸送人員は、2011年度に2620万人に落ち込んでいる。マイカー普及に伴う利用者減少は全国も同様だが、沖縄は減少が著しい。
 復帰後の県内バス事業は、乗客の減少が経営やサービスの悪化をもたらし、それがさらなる利用者離れを招く悪循環が続いた。2003年のモノレール開業を経て、00年代半ばに有力バス2社が相次いで破産したことは公共交通の衰退を象徴する出来事だった。
 だがここ数年、「バスが変わり始めた」と感じることも多い。07年から一部のバス停では衛星利用測位システム(GPS)を利用し、待ち時間を案内している。携帯電話向けにバスの接近情報を配信するサービスも行われている。
 路線再編、百円バスや小型バスなどのサービスも広がった。さまざまな事業に取り組んでほしいが、何より運転手の親切な対応が、乗客を一番引き寄せるサービスであることにも言及しておきたい。
 サービス向上はバス会社だけでは限界があり、その意味でも県も交えたバス停の改修事業は評価できる。県に対しては従来「自らが出資するモノレールへの支援に比べ、バスには冷たい」といった声もあったが、昨年度からは事業者と共に「わったーバス党」の広報活動も進めている。一層の取り組みを望みたい。
 バス停改修では、東京の地下鉄のようにアルファベットと数字を組み合わせた記号も表示するなど、外国人向けの新サービスも検討している。アジア人観光客などの誘致拡大が叫ばれて久しいが、遅まきながらこうした施策を着実に進めるべきだ。バスのサービス改善にも、国際観光地の実現に向けた環境整備という視点は欠かせない。