宜野座村民大会 県民の総意と受け止めよ


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 地域住民の生命や財産が脅かされ続ける現状に対する強い憤りを、日米両政府は今こそ真剣に受け止めるべきだ。

 米軍HH60救難ヘリコプター墜落事故に抗議する宜野座村民大会には約1100人(主催者発表)が参加し、日米両政府への厳しい批判の声が噴出した。
 乗員1人が死亡した墜落炎上事故もさることながら、事故後も変わらない米国の軍事優先の対応や、それに盲従する日本政府の姿勢からは、反省のかけらも感じられないためだ。
 事故の原因究明もなされず、具体的な再発防止策も示されないまま、県民の強い反対を押し切ってわずか2週間足らずで同機種の飛行訓練は再開された。住民の命と暮らしを軽視した人権蹂躙(じゅうりん)にも等しい行為と指弾せざるを得ない。
 墜落の危険性が懸念されるオスプレイの追加配備も墜落事故から1週間後に再開され、旧盆中の中日にはそのうちの2機が配備後初の飛行訓練を実施した。米軍岩国基地(山口県)からの飛来は、地元の要望に配慮してお盆の時期を避けたのとは極めて対照的だ。
 沖縄には犠牲を強要しても構わないとする差別意識が働いているとしか思えない。このような露骨な二重基準がいつまでも許されていいはずはない。
 大会決議では、事故原因の究明までの同機種の飛行中止やオスプレイの即時全機撤収などを求めた。これは何も宜野座村民だけの訴えではなく、多くの県民の思いを代弁するものだ。
 宜野座村は村面積の50・7%を米軍基地が占め、軍用地料などの基地関係収入が村歳入の34・1%(2011年度)に達する。金武町や恩納村にも該当するが、基地に依存する財政事情は、土地を基地に奪われ共存を強いられた“ひずみの構造”の表れにすぎない。
 本土の政治家や官僚、一部メディアなどは、基地に反対する動きについて、振興策や財政支援を引き出すための条件闘争だと今なお曲解する向きもあるが、事実誤認も甚だしい。
 大会で當眞淳村長は「将来を担っていく子たちのために粘り強く声を上げていく」と強調し、女性代表の島田久美子さんは「村内でも県内でも軍事訓練、飛行訓練が止まるまで声を上げ続けよう」と訴えた。日米両政府は、沖縄の不退転の決意にほかならないと認識すべきだ。