中高生売春 根絶へ本気度が問われる


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 宜野湾署や県警暴力団対策課などは23日までに、18歳未満と知りながら沖縄本島内の中高生の少女ら13人に出会い系サイトで仲介した客とみだらな行為をさせたとして、西原町の自営業の男(33)ら5人を児童福祉法違反で逮捕した(4人は起訴済み)。少女たちを性の道具のごとく扱う卑劣な犯罪は断じて許せない。

 警察によると、男らは女性を客がいる場所に派遣し、性的サービスを提供する「デリバリーヘルス」という手法を用い合計19人の女性を県内外の客と引き合わせ、少なくとも約8千万円を得ていた。
 被害少女の数、容疑者らが手にした売上額、福島、宮城、愛知など8県にまたがる現場など、県内の出会い系サイト関連犯罪としては異例の大がかりな事件だ。警察は事件の収益が指定暴力団旭琉会の資金源にもなったとみている。全容を解明し、不正な資金の流れがあるなら断ち切らねばならない。
 出会い系サイトは、サイトを利用した未成年者が買春などの被害に遭う事例が多発したため、2009年に年齢確認の厳格化が義務付けられた。しかし、今回の事件で未成年でも簡単に利用できる実態が浮き彫りとなった。
 警察庁は出会い系サイトに関する専用ページを開設し、中高校生には大人の甘い言葉にだまされないよう注意を喚起している。保護者には子どもたちが使用する携帯電話などで違法・有害コンテンツを閲覧できなくするフィルタリングを奨励し、子どもを有害サイトから守るよう呼び掛けている。
 だが事件は絶えない。関係機関は出会い系サイト関連犯罪の実態を徹底的に洗い出し、再発防止対策を強化・再構築すべきだ。
 こどもが犯罪の危険にさらされる背景にも目を向けたい。有害サイトに詳しい米盛徳市琉大教授は「ネットの世界は、やりたい放題の世界といってもいい。自宅にネットを開通し子どもにスマートフォンを持たせるなら、親は子どもが危険に巻き込まれる覚悟が必要ともいえる」と述べ、親もメディア活用力をつけるべきだと強調する。重い指摘だ。
 病的なネット依存が疑われる中高生が全体の8%(51万人)を占めるとの国の調査結果もある。ネット社会の病理と向き合い、子どもたちをどう犯罪から守るか、社会全体で踏み込んだ議論をすべきだ。大人の本気度が問われる。