特養の入所厳格化 家族へのしわ寄せ懸念

 厚生労働省が2015年度から特別養護老人ホームの入所基準を厳しくする方針を固めた。原則として入所できる高齢者は、手厚い介護が必要で、自宅では負担が重い「要介護3」以上に限る方向だ。

 要介護度の低い人を、自宅で利用できる在宅サービスへと導きたい考えのようだが、本当の狙いは増加し続けている国の介護給付費を抑制することだろう。社会保障や介護サービスの低下につながる恐れも否定できない。慎重な判断を求めたい。
 特養ホームの入所厳格化に関しては、今月上旬に最終報告書をまとめた政府の社会保障制度改革国民会議が「中重度者に重点化」と提言した。政府は改革の法整備や実施時期を定めた「プログラム法案」の骨子を21日に閣議決定。来年の通常国会に介護保険法改正案を提出し、入所厳格化を15年度開始をめどに実施する方針を示した。
 特養ホームに入所できるのは要介護3以上の中重度者に限り、比較的軽度の要介護1、2の高齢者は新規の入所を制限する。現在は都道府県が入所基準を定めているが、法律に「入所は要介護3以上」と盛り込むことを検討している。
 ホームヘルプなどの在宅サービスや、特養ホームなど施設でのサービスにかかる介護保険の総費用は2011年度で8兆2253億円となり、00年度の制度開始時の2・3倍に達した。25年度には21兆円に膨らむと推計されている。
 厚労省は現在一律1割となっている介護サービス利用の自己負担割合を、夫婦の年収が三百数十万円を超える世帯で2割に引き上げることも検討している。介護給付費の抑制や給付財源の確保は喫緊の課題だ。だがだからといって、軽度段階の高齢者を施設から一律に排除してよいはずがない。
 特養への入所者は、寝たきりなど自宅生活が難しい高齢者が中心で、要介護3以上が9割近くを占める。厚労省は入所の厳格化と併せて、自宅がない要介護1、2の高齢者向けに空き家などを活用して住まいを確保し、買い物や食事などの支援も行う仕組み作りを進めるという。
 だが特養の入所待機者は全国で40万人を超えており、施設は全然不足している。入所厳格化のしわ寄せを家族に押し付けてはならない。急速な超少子高齢化の中で、介護サービスに関する国民的議論が尽くされているとも言えない。政府は国民に十分説明すべきだ。



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