オスプレイ着陸失敗 飛行停止し原因究明急げ


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 懸念されていた事故が起きた。米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、米西部ネバダ州で通常訓練中に「着陸に失敗」した。事故機は米軍普天間飛行場に配備されているオスプレイと同型だ。幸い乗員4人は無事で、被害は特に出ていないようだ。

 現場は空軍基地近くの公有地という。しかし広大な米国だからこそ「着陸失敗」で済んだのではないか。これが普天間飛行場周辺だったらと思うと、戦慄(せんりつ)を覚えざるを得ない。
 事故機の損傷の具合や事故原因は明らかになっていない。事故原因の完全な究明には時間がかかるだろうし、当然時間をかけるべきだ。そして、事故原因が究明され再発防止策が講じられるまで、米軍は同型機の飛行を停止すべきだ。
 民間では、バッテリーの不具合で4カ月以上飛行を停止したボーイング787の事例が記憶に新しい。それが常識的で最低限の対応というものだろう。
 米軍は今回の事故を「ハードランディング(激しい衝撃を伴う着地)」と説明している。
 想起するのはことし4月16日、普天間基地所属のCH53E大型ヘリが、韓国北部の射撃訓練場で着陸に失敗して炎上した事故だ。
 このときも米軍は「ハードランディング」と説明した。乗員21人は全員無事だったが、報道写真では機体は真っ二つとなり、消火剤をかける消防隊員の姿もあった。落下の衝撃の大きさが伝わり、実態は「クラッシュ(墜落)」に近かったことをうかがわせた。
 しかし、今回の事故では写真や映像が公表されていない。米軍が事故現場付近で立ち入りを規制しているためとみられる。
 米軍は従来、事故を「軍事機密」を理由に覆い隠したり、過小評価して安全性を強調したりするが、今回もこうした姿勢が顕著だ。
 ましてや欠陥性が指摘され、県民の懸念や反発が強いオスプレイの事故だ。米軍は実態隠しに過敏になっているのではないか。
 米軍は事故の実態を速やかに公表し、事故原因の究明と説明責任を徹底すべきだ。日本政府もそのことを米軍に強く求めなければならない。
 今回の事故はオスプレイの構造的欠陥をあらためて浮き彫りにした。危険な普天間基地に欠陥機を配備するのは重大事故を許すことにつながる。飛行停止とともに、即時撤去をあらためて求める。