2万人施設計画 官民の知恵と総力結集を


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 県は、国際見本市やコンサート会場などに利用できる県内最大規模となる2万人収容の施設整備を計画していることが明らかになった。全国の特産品などの常設展示や大型MICE(企業の報奨旅行や国際会議)の受け入れ施設としての役割も担う構想だ。

 経済成長が著しいアジアとの国際ビジネス交流や、国内外からの観光客誘致の取り組みを促進する中核施設と位置付けられよう。施設整備の意義は大きく、今後の取り組みが円滑に進むことを期待したい。
 現在、県内最大規模の沖縄コンベンションセンター展示棟の収容人員は約5千人だが、大規模イベントは断っている状況にあるという。5千人を超える大型MICEなどの開催打診も増える中、ビジネスチャンスをみすみす逃がしているようなものだ。大型施設整備の取り組みはむしろ遅きに失したくらいだ。
 施設整備を急ぐ背景には、全日本空輸(ANA)が那覇空港を拠点(ハブ)に展開する国際航空貨物事業がある。沖縄を通過する国内外の特産品や新製品などを一堂に集めて商談をする国際見本市や博覧会などの開催は、物流ハブ機能強化に直結するからだ。
 集積する貨物が増えれば、流通加工サービスや物流センターなど、県内で新たなビジネスや雇用の創出が期待されるなど県経済への波及効果も大きい。見本市などの相乗効果を引き出すためにも、県内企業にはこうしたビジネスに主体的に関わる気概を求めたい。
 沖縄と本土の経済人でつくる沖縄懇話会は、2014年11月に貨物ハブ事業を活用した国際商談会「沖縄大交易会」の開催を計画している。今秋のプレ大会には、全国から製造会社など出展サプライヤー企業約120社、海外などのバイヤー企業約100社の計220社が参加予定だ。新施設は商談会の定例化も念頭にあるとされるが、アジアの成長や活力を取り込む試金石としての大交易会にも注目したい。
 県は2013年度に施設整備に向けた基本構想を策定し、14年度にも整備に着手したい考えだ。建設場所や運営主体をはじめ、物流促進に関する優遇措置や規制緩和の必要性など検討課題も少なくない。国や関係機関などとも連携を強化し、アジアに近い沖縄の優位性を最大限に生かせるよう施設整備を進めてもらいたい。