事故はクラスA 恥ずべき軍の隠ぺい体質


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 いつまで情報の隠ぺいを続けるつもりだろうか。米西部ネバダ州で発生した垂直離着陸輸送機MV22の着陸に失敗した事故のことだ。本紙記者の再三の質問に米側が明らかにしたのは「ハードランディング(激しい衝撃を伴う着陸)だ」「乗員が脱出後に機体が炎上した」「通常訓練中で4人が搭乗し、死傷者はいない」というぐらいのことだ。現場写真の提供にも応じていない。

 しかし事故機が所属する米ミラマー基地広報官の少将は、自国の地元紙の取材には「機体は飛べなくなるほどの損傷を受けた」と答えている。
 さらに米海軍安全センターが今回の事故を最も損害の大きい200万ドル(約2億円)以上の「クラスA」の事故に分類し、機体の状態を「大破」と評価していた。既にインターネットに掲示している。過去のオスプレイの墜落事故の大半は「クラスA」だ。
 今回の事故状況を米側の情報だけで組み立てても「激しい衝撃を伴う着陸」をし、機体が「大破」「炎上」し、200万ドル以上の損害がある最も大きい「クラスA」の事故が発生したことになる。
 米軍は今年4月に韓国で発生した普天間基地所属のCH53大型輸送ヘリの着陸失敗炎上事故も今回と同様に「ハードランディング」と説明していた。韓国の事故現場の写真を見ると、機体はばらばらに大破し、黒焦げとなっている。これを墜落事故と呼ばずして、何と呼ぶのだろうか。
 今年6月に米ノースカロライナ州で発生したオスプレイの事故もクラスAと評価されていたことが今回分かった。損害額は6300万ドル(約62億円)で、機体1機分の価格を上回るほどの損害だ。海兵隊は「機体の一部が焦げた」と説明していた。意図的に事故の深刻さを隠しているとしか思えない。
 昨年8月、在沖米4軍調整官で第3海兵遠征軍司令官だったケネス・グラック中将はインタビューでオスプレイのクラスAの事故が少ないことを根拠に「最も安全な航空機を開発できた」と説明した。今年に2度もクラスAの事故が起きた。どうして安全な航空機と呼べるのか。
 オスプレイが危険極まりない航空機であることは自明の理だ。これ以上、沖縄の空を飛行することは許されない。日米両政府はただちに普天間飛行場への配備を取り消し、全機を撤退させるべきだ。
英文へ→[Editorial] U.S. military’s shameful cover up of Osprey crash in Nevada