内閣府概算要求 本気度は満額確保で示せ


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 内閣府沖縄担当部局の2014年度の概算要求がまとまった。13年度当初予算比406億円増の3408億円、率にして13・5%増となる。山本一太沖縄担当相は「安倍内閣の沖縄振興に対する本気度」と胸を張ったが、額面通りに受け止めるわけにはいくまい。

 国土強靱(きょうじん)化を掲げる国土交通省の16・3%増をはじめ、各省庁も増額要求となっているからだ。政府予算の要求総額は99・2兆円と過去最大となり、復興費用を含めると103兆円程度まで膨れ上がる。
 財政規律が厳しさを増す中、年末の予算編成に向けて沖縄予算をどう確保するのか。安倍政権の沖縄に対する「本気度」が問われるのはこれからと言える。
 要求額を押し上げたのは、那覇空港第2滑走路の増設事業費300億円や、沖縄科学技術大学院大学関連経費がほぼ倍増となったことが要因だ。
 県の要求は13年度並みの3千億円規模だったが、これは滑走路予算の「別枠」計上を求めていたためだ。第2滑走路の工期は5年10カ月、総事業費1980億円を見込むが、財源確保のめどが立っていないことが背景にある。
 第2滑走路は完成まで毎年300~400億円程度の財源が必要だが、沖縄振興予算から拠出した場合、他の必要な事業へのしわ寄せが懸念されるからだ。今回要求された300億円についても130億円は国の空港整備特別会計から充当されるが、残り170億円の財源は確定していない。
 何のことはない、沖縄予算の蛇口を開け閉めするバルブは政府が強く握ったままだ。にもかかわらず、安倍政権がことさら沖縄への配慮を強調することに違和感を禁じ得ない。普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた露骨な思惑が透ける。しかしながら知事と全市町村長はこぞって辺野古移設に反対している。自民党政権の常とう手段だった「アメとムチ」の懐柔政策はとうに破綻していると銘記すべきだ。
 一方、沖縄振興交付金(一括交付金)の取り組み状況など、県側の課題も深刻に受け止める必要がある。県や市町村が使い道を定める一括交付金の使途については国の会計検査も迫る。まさに県側の政策立案と遂行能力が問われており、一括交付金の存在価値に関わりかねない。手にした宝をしっかりと磨いて輝かせよう。