5団体抗議声明 保革超えた民意は重い


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 オスプレイの強行配備を拒絶する県民の不退転の決意の表れとして、日米両政府は真摯(しんし)に受け止めるべきだ。

 県議会や県市長会など県内の行政・議会5団体の長は、オスプレイの普天間飛行場への追加配備に抗議し、全機の配備撤回と即時撤去を求める共同声明を発表した。
 オスプレイ配備に反対する超党派の県民大会から9日で1年を迎えるのを前に、喜納昌春県議会議長が今後の対応に関する協議を働き掛けた。選挙で選ばれた首長や議員ら関係5団体の長が、あらためて保革を超え沖縄の民意を示す意義は大きい。
 県民の命の尊厳を懸けた10万人規模の集会からやがて1年になるが、この間、沖縄を取り巻く政治情勢は変化した。昨年末には自民党の安倍晋三政権が発足。「日米同盟強化」の名の下、オスプレイ配備や普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、対米追従姿勢は強まるばかりだ。
 ことし1月には、県議会や県内41市町村の首長や議長ら県民代表が、オスプレイ配備撤回や普天間飛行場の閉鎖・撤去を求める「建白書」を安倍首相に提出した。沖縄の民意はとうに分水嶺(れい)を越えたにもかかわらず、一顧だにされない状況が続いている。
 沖縄側にも変化がある。自民党の西銘恒三郎衆院議員と島尻安伊子参院議員は4月以降に相次ぎ、普天間飛行場の「県外移設」の選挙公約をほごにした。有権者を欺く行為にほかならないが、全国には「基地をめぐる沖縄の民意は割れている」と誤解する人も少なくないはずだ。
 こうした時期だからこそ、行政・議会5団体が配備反対で共同歩調を取ることは意義がある。オスプレイ配備の既成事実化にくさびを打ち込むことにもなる。
 先月下旬の米ネバダ州での「墜落」事故を挙げるまでもなく、開発段階から事故を繰り返すオスプレイの危険性については、もはや疑念の域を超えている。
 行政・議会5団体は抗議声明にとどまらず、米政府に直接訴えることや、基地問題をめぐる他の都道府県との認識の違いを埋めるため、全国行脚も検討するとしている。ぜひ直ちに実行に移してもらいたい。
 基地負担の軽減は、日本政府任せでは実現しないとの気概にほかならない。地道に粘り強く、継続した取り組みを構築したい。