ネット犯罪根絶 親子の対話が不可欠だ


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 青少年をインターネット犯罪から守る県民集会が13日、那覇市で開かれた。教育行政や警察の関係者、社会教育団体、中高校生らが多数参加し「子どもたちを犯罪に巻き込む行為は絶対許さない、犯罪被害には遭わせない」との決意を込めたアピールを宣言した。

 中高校生9人を含む女性19人が、ネットを利用した「デリバリーヘルス」による売春事件に巻き込まれたことが8月に発覚した。集会はこの事件を受けたものだ。ネット犯罪根絶への決意を、関係機関、県民と共に共有したい。
 集会で、高校生代表の喜屋武雅(みやび)さん(宜野湾高校2年生)は「子どもたちは大人たちにとやかく言われることに抵抗を感じるかもしれないが、大人は知らないふりをせず、問題に向き合い、注意する勇気を持ってほしい」と訴えた。切実な思いを真摯(しんし)に受け止めたい。
 携帯電話やスマートフォンなどを使う子どもに対し、親が真夜中に及ぶ長時間利用やネット依存への懸念を伝えたら、逆に「ネットのことを知らないくせに」と批判されたとの話をよく聞く。
 ここで対話をやめれば、根本的解決は遠のくばかりだ。意見対立を粘り強く乗り越えられるか。実はそれが子どもが健全にネットを使いこなす社会人となるか、あるいはネット依存に陥って心身の健康を損ねたり、最悪の場合にはネット犯罪に巻き込まれたりするのかという分岐点に思えてならない。
 大人、親には責任がある。子どもにネットの有害性を強調するだけでなく、利便性と危険性を丁寧に説明すべきだ。自らのネット利用のスキルを磨くことも肝要だ。
 知恵の蓄積はある。警察庁は出会い系サイトに関する専門ページで、保護者に子どもが使用する携帯電話などで違法・有害コンテンツを閲覧できなくするフィルタリングを奨励している。県教育委員会は「教育情報化推進計画」(2012年度~16年度)に基づき情報モラル教育を推進している。
 子どもの性を食い物にして暴利をむさぼろうとする卑劣な人間は、今後も出てくるだろう。関係機関は情報を共有し、ネット犯罪根絶へ持続的に連携すべきだ。
 悪いのはネットを悪用する大人だが、中高校生らネット世代も自らの人間としての尊厳を守るために、ネット犯罪に巻き込まれないよう十分気を付けてほしい。