米識者提言 不公平な安保を正すとき


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ライシャワー駐日米大使の特別補佐官を務めていたジョージ・パッカード米日財団理事長が琉球新報のインタビューに答え、沖縄に米軍基地が集中している現状について「沖縄だけでなく、日本全体に分散し、負担を分け合うべきだ」と主張した。普天間飛行場移設についても「両政府は現計画に固執しているが、問題を解決できないだろう」とし、県内移設の現行計画見直しを提起した。至極まっとうな見識だ。米側の識者から米軍の沖縄駐留を疑問視する意見が相次いでおり、日米両政府は真剣に受け止めるべきだ。

 日本の国土面積のわずか0・6%の沖縄県に現在、在日米軍専用施設の74%が集中している。戦後の当初から、これだけの基地があったわけではない。1950年代に日本で反基地運動が激化し、海兵隊は出て行かざるを得ない状況に追い込まれた。そこで米統治下の沖縄に岐阜県や山梨県に駐留していた第3海兵師団が移駐してきたのだ。普天間基地に駐留している第1海兵航空団も76年に岩国から沖縄に移った部隊だ。
 これをみても沖縄の軍事的な「地政学的重要性」は幻想であることが分かる。
 パッカード氏は、日本全国で反安保闘争が燃え盛る中、米軍が「沖縄が必要」と主張していたとき、ライシャワー氏が「沖縄の主権は日本にあり、本来返還されるべきであり、軍の発想はナンセンス」と言っていたことを明らかにした。
 今まさに問われるべきことも、沖縄の「真の主権回復」だろう。県民の人権を顧みず、傍若無人に沖縄の土地、海、空を米軍が支配している異常さこそ根本的に改めるときだ。
 日本やドイツに駐留する米軍の大幅削減を提言するエリザベス・ホフマン米サンディエゴ州立大学教授も本紙のインタビューに「日本における沖縄の基地負担割合の議論より、米軍を米国内に引き揚げるべきだ。米国が豊かになるために大規模な軍隊は必要ない」と主張する。いずれにしても沖縄駐留を疑問視している。
 昨年に琉球新報と毎日新聞が合同で実施した世論調査でも県民の69%が沖縄の基地集中を「不平等だ」と答えている。日米両政府は米側の識者や県民の声に耳を傾け、在沖基地の縮小を加速させ、普天間の移設計画は県外、国外へとかじを切るべきだ。