みずほ暴力団融資 究明急ぎ責任明確にせよ


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 反社会的勢力との決別を誓ったはずではなかったのか。法令順守体制など模範となるべきメガバンクの不祥事は、暴力団排除の機運にも水を差す行為であり、極めて遺憾と言うほかない。

 みずほ銀行が暴力団構成員などへの融資を放置した問題で、岡部俊胤副頭取(みずほフィナンシャルグループ副社長)は4日会見し、取引に気づいた2010年12月の時点から、法令順守担当の副頭取が事実を把握していたことを明らかにした。
 当時ナンバー2だったこの副頭取は既に退任したが、その後の担当役員らも引き継ぎを受けていたにもかかわらず、対策を怠っていた。経営の中枢が事実を把握しながら、問題融資が2年間以上も放置されていた。倫理観の欠如にがくぜんとするほかない。組織ぐるみの隠蔽(いんぺい)体質-との批判も免れないだろう。
 金融業界と反社会的勢力をめぐっては、1997年にみずほの前身の第一勧業銀行による総会屋への利益供与事件が発生。経営陣の引責辞任にとどまらず、歴代首脳が逮捕された。同年は利益供与事件で証券大手などが相次ぎ摘発されるなど社会的な問題となった。
 岡部副頭取は会見で「非常に意識が低く、認識が甘かった」と述べたが、過去の教訓に学ばず、過ちが繰り返された責任は重大だ。
 今回の反社会的勢力との取引は、金融庁が昨年12月に実施したみずほ銀行への検査で発覚した。グループの信販会社、オリエントコーポレーションを通じて、自動車ローンなど計230件、総額2億円超を融資していた。
 顧客の審査を信販会社に任せた提携ローンが問題の背景にあるとの指摘もある。反社会的勢力に関する情報の共有や審査段階でのより厳格なチェック体制など提携ローンの抜本的な見直しが急務だ。
 一方、金融庁は今年9月27日にみずほ銀行に業務改善命令を出したが、経営幹部による記者会見は岡部副頭取が初めてで、1週間もなされなかった。説明責任を果たさねば、信頼回復などあり得ない。危機管理はどうなっているのか。
 みずほ銀行は、外部専門家を交えた第三者委員会を設置し、問題融資が放置されていた原因の究明を急ぐ方針だ。全容解明はもとより、合併前の旧行意識もなお根強いとされる組織の問題点も徹底的に洗い出してもらいたい。