外相、防衛相来県 県内移設は非現実的だ


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 仲井真弘多知事が岸田文雄外相と小野寺五典防衛相との会談で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に否定的見解を示し、県外移設をあらためて求めた。

 会談で知事は、外務省職員が会談の公開終了を報道陣に告げた際にあえて「一つだけ」と付け加えて「県外が早いというのは変わっていない」と強調した。何としてもマスコミを通して、自分の思いを伝えておく必要があると判断したのだろう。
 民意を踏まえたものであり、評価したい。日米両政府は知事の言葉を重く受け止め、普天間の閉鎖・撤去、県外・国外移設に向け、新たな日米合意を結ぶべきだ。
 3日の日米両政府の外交・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で日米両政府は普天間問題について、辺野古移設が「運用上、政治上、財政上および戦略上、唯一の解決策」として計画を推進する方針を強調した。
 一方で、新型輸送機MV22オスプレイの沖縄での訓練を減らし、在日米軍軍人・軍属の公務中の犯罪について日米地位協定の運用見直しを図るなどの方針を示した。高圧的な態度の後はあたかも沖縄に配慮し、誠意を尽くしているかのように演出している印象だ。
 辺野古移設に向け、知事の埋め立て許可を得るための環境づくりをしているのは明らかだ。しかし「配慮」や「誠意」を並べれば、県民や知事の意思が軟化すると考え続けるのなら、政府の感性と想像力の劣化はかなり深刻だ。
 普天間飛行場は早急に返還してもらう、自然を破壊して辺野古に新基地は造らせない、普天間代替が必要と言うのなら沖縄以外で検討してもらう。これが県民の譲れない、最低限の要求であるということを肝に銘じる必要がある。
 両大臣が赴くべきは沖縄以外の場所だろう。そこでこそ「普天間受け入れを」と誠意を見せ理解を得るべきではないか。沖縄だけに理解を求める構図は差別以外の何物でもない。そんな差別を、県民はこれ以上受け入れるわけにはいかない。
 知事が言うように、普天間移設は「実現可能性、迅速性を考えると、県外が明らかに早い」。政府同士がいくら合意しても、県民の大半が反対している計画は実現不可能だ。力ずくで不可能を可能にするような国は民主主義国家とは言えない。日米両政府はそろそろ、迷妄から覚めるべきだ。