委託8割随意契約 競争入札の原則に戻れ


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 県が2011年度に民間や公社など外郭団体などに委託した事業や事務の契約6184件のうち、78%に上る4837件が随意契約だったことが包括外部監査結果報告で明らかになった。金額では総額383億円のうち248億円を占めている。うち3分の2近くが企画競争にも公募にもかけられず、契約先を決めていた。

 これほど巨額の公金を競争入札にかけることなく支出したのは大きな驚きだ。県民にどう説明するのか。
 地方自治法は地方公共団体の事務処理について「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを求める。「最少の経費」を実現する望ましい契約方法の優先順位は、参加者が多く競争原理がより働く一般競争入札、指名競争入札、随意契約の順になるのが常識だ。
 ところが今回の外郭団体などへの委託事業では随意、指名、一般の順となり正反対だ。随意契約が突出して多いのは、最少の経費を追求しているとは言えない。
 県は随意契約にした理由について「競争入札に適さない」「請負額が少額」を挙げている。二つの理由が全体の約93%を占める。県財務規則は少額を理由に随意契約できる金額の上限を契約ごとに決めている。最大額は「工事または製造の請負」の250万円だ。農林水産部が800万円の随時契約を結んだ事例などがあった。明らかに規則違反ではないか。
 さらに県財務規則で10万円以上の随意契約は複数以上の見積もりを取ることが必要なのに、契約3014件のうち45%の1347件しか取っていなかった。これでは財務規則を踏みにじっていると言われても仕方がない。
 県が「競争入札に適さない」と判断したことについて、調査をした県包括外部監査人は「外部からの検証を行うことなく、県庁内部だけで『競争入札に適さない』との判断を行っていることが非常に問題である」と厳しく批判している。正論だ。
 外郭団体には元県幹部や職員が再就職で在籍しており、県は規則をないがしろにしてでも、天下り先に事業を優先発注し、利益を誘導している、と指摘されても果たして反論できるだろうか。
 県はこれまでの外郭団体との随意契約の悪弊を見直し、競争原理の働く一般・指名競争入札の大原則に戻るべきだ。そうしなければ県民の理解は得られまい。