県功労者表彰 足跡学び未来へつなごう


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 文化の日のきょう、2013年度県功労者の表彰式が行われる。地方自治、教育、文化・学術、社会福祉、産業振興などの9分野で県の振興や発展に貢献してきた11人が晴れて表彰される。

 それぞれの分野で地道に努力と研鑽(けんさん)を重ね、県勢と県民生活の向上に尽力してきた面々だ。業績の一つ一つは県民の財産とも言えよう。県民と共に敬意を表し、祝福したい。
 今回の県功労者の最年少は78歳の土肥健一さん=サン食品社長=と内田詮三さん=沖縄美ら海水族館名誉館長=の2人。最高齢は95歳の山田實さん=写真家=だ。女性では93歳の池間苗さん=与那国民俗資料館館長=らがおり、実に重厚で多彩な顔ぶれだ。
 戦後68年、本土復帰後41年。10代、20代で戦争を経験し、疲弊した国土、郷土の復興を図りたいとの思いを抱き、奮闘した青少年期だったのではないか。
 米軍統治下の困難で激動の時代を経て、本土復帰後の今日まで、それぞれの分野で才覚を発揮して活躍し、県勢発展に努めてきた。その足跡の重みと功績の大きさをひしひしと感じる。
 この間、功績の分だけ苦労や悩みもあったに違いない。家族や友人らの支えも力になっただろう。これらが県功労者表彰という形で実を結んだことに感慨も大きく、喜びもひとしおのことと思う。
 県功労者表彰は本土復帰の翌年の1973年度から始まり、今年で41回目。被表彰者は今回を含め432人となる。それぞれの業績が県勢発展の礎となり、県民生活を支え、豊かにしてきたということをあらためて知る思いだ。
 だが、沖縄はまだ多くの課題を抱えている。基地問題はもちろん、教育や福祉、経済・産業振興の分野でもそうだ。しまくとぅばを話せる人が激減しているなど、沖縄の文化の基層にも危機が迫っているとも指摘されている。
 後輩の私たちの責任と役割は大きい。しかし、それぞれの持ち場で個性と能力を発揮すれば、きっと社会全体の前進、発展につながる。功労者の足跡と業績はそのことを私たちに示してくれている。
 功労者のみなさんの力添えや叱咤(しった)激励も、まだ必要かもしれない。功労者表彰を沖縄の歩みを振り返り、よりよい沖縄にしていくにはどうしたらいいか、県民が共に考え語り合う機会にしたい。