海兵隊2割削減 在沖兵力も大幅撤退を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米国防費の削減に伴う米軍の兵員削減計画で、国防総省が海兵隊の規模を現行の約19万5千人から約2割縮小して15万9千人にすることを検討している。海兵隊が現時点で公表しているのは17万4千人体制への移行で、さらに削減されることになる。沖縄の兵力削減によって、県民の過重負担を大幅に軽減してもらいたい。

 ヘーゲル国防長官はこれまで、最少15万人まで減らす可能性に言及していた。15万9千人までの削減検討は長官方針に沿った形だが、海兵隊側は大幅削減に抵抗してきた。
 エイモス海兵隊総司令官は6月、2017年9月末までに18万4千人に削減すると説明。国防費強制削減の開始で18万2千人までは下方修正する予定も示し、削減が10年続けば兵力が17万6千人まで減るとして「18万2千人を下回れば巡回戦闘能力を維持する弾力性を失う」と危機感を示した。
 ところが、海兵隊の配置計画を担当するマッケンジー少将は10月下旬、2017年度会計年度までに17万4千人への縮小計画を実行すると明言。エイモス司令官はこの数を「戦争を遂行できる最小限の規模」と説明し、マッケンジー氏は15万人案については「危険なほど小さな力になる」と指摘した。
 海兵隊は削減案にいったん抵抗した上で、抗しきれないと見ると削減に応じるという対応に終始している。組織保持を優先しているとしか思えない。シビリアンコントロール(文民統制)の国であるなら、国防長官が求める15万人まで削減するのが当然だ。
 この機会に在沖米海兵隊の兵力も大幅削減すべきだ。海兵隊は世界に三つ配備している海兵遠征軍(MEF)のうち、米ノースカロライナ州にある第2海兵遠征軍の司令部を廃止し、規模の小さい海兵遠征旅団(MEB)として独立させる計画を進めている。遠征軍を三つから二つに削減するわけだ。
 海兵隊は琉球新報の取材に対して、沖縄に司令部がある第3海兵遠征軍傘下の第3海兵遠征旅団に、独立した司令部を設置することも明らかにしている。第2軍と同様に規模縮小の可能性がある。
 米国のシンクタンク・ランド研究所は在沖海兵隊の大部分を米国に移転しても「わずかな影響しか及ぼさない」と指摘している。国防総省も在沖海兵隊の大幅削減が合理的であると悟っていいころだ。