かけはしの会論議 公約偽装は許されない


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 県選出・出身の自民党国会議員5人でつくる「かけはしの会」(会長・西銘恒三郎衆院議員)をめぐる雲行きが怪しい。

 米軍普天間飛行場移設問題で、県内移設容認で見解を一致させることについて議論を交わしたという。結論は出なかったようだが、「状況は刻々と変わっている」(宮崎政久衆院議員)との発言も出るなど、県内移設容認に向けた環境整備が進んでいるような印象を受ける。
 おかしな話だ。昨年12月の衆院選で自民議員が選挙区などで当選したのは、普天間問題で県民の意思に沿って「県外移設」を掲げ、支持されたことが大きいはずだ。
 食材をめぐる虚偽・偽装表示が大きな社会問題となっている。県選出国会議員らの「県外移設」の公約も「羊頭狗肉(ようとうくにく)」の類いではないかと疑わざるを得ない。
 虚偽・偽装表示は消費者への裏切り行偽そのものだ。悪質な場合は廃業に追い込まれる。それだけ消費者の信用、信頼を失うのは致命的だということだ。
 「かけはしの会」の動きも同様に有権者・県民の期待、信頼に背を向けるものではないか。県外移設公約を撤回するのなら、国会議員をいったん辞職し、次の選挙で「辺野古移設」を堂々と主張して有権者に信を問うべきだろう。
 その覚悟や気概もないのなら、浮ついた言動は厳に慎むのが筋というものだ。そうでないと、政府による県民の分断工作にいたずらに手を貸すことになる。
 議論では、「県外移設」の公約を撤回しない場合は党籍や処分問題に発展する可能性も示されたという。早々と公約を撤回した西銘氏らが国場幸之助衆院議員らを説得する構図のようだが、その成り行きを県民は厳しく見ているということを忘れてはなるまい。
 普天間の辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請に対する仲井真弘多知事の判断や、来年1月の名護市長選が迫り、普天間問題は重大局面に差し掛かっている。
 「かけはしの会」は普天間飛行場の閉鎖・撤去や県外移設を求めて、県議会や全市町村議会が決議したこと、保革を超えた民意として県民代表が政府に「建白書」を提出したことの意義や重みを再認識すべきだ。
 民意から離れてどことどこの、誰と誰の懸け橋になろうというのか。密室ではなく開かれた場で、県民にきちんと説明してほしい。