相次ぐ虚偽表示 業界のモラル再構築急げ

 食材の虚偽表示がホテルや百貨店のレストランなど全国で相次いで発覚し、飲食業界のモラルハザード(倫理観の欠如)は底なしの様相を帯びている。

 虚偽表示問題は阪急阪神ホテルズをきっかけに瞬く間に広がり、三越伊勢丹、そごう・西武、高島屋、大丸松坂屋の四大グループをはじめ主要百貨店の大半で発覚。日本を代表する名門、ホテルオークラにも波及した。県内でも、沖縄都ホテル、宮古島東急リゾート、ホテル日航那覇グランドキャッスルなどJALホテルズ3カ所で判明している。
 消費者の信頼を裏切る虚偽表示がこれだけ相次ぐと、問題は氷山の一角ではないかとの疑念は、もはや確信に変わった。ブラックタイガーを「車海老」、ロブスターを「伊勢海老」、ロコ貝を「アワビ」などと表記するのは、偽装はおろか、詐欺にも等しい行為だと指摘せざるを得ない。
 不正確な表記がまかり通る業界の習わしは、消費者不在の商売とのそしりは免れない。関係業界はこの機会にうみを洗いざらい出し切り、地に落ちた信頼の回復に総力を挙げるべきだ。
 虚偽表示問題では、阪急阪神ホテルズと近鉄旅館システムズの2人の社長が辞任した。いずれの社長も問題が発覚した最初の会見では「誤表示」「お粗末なミス」などと釈明を繰り返したが、強い批判を浴びて結果的に偽装を認め、辞任に追い込まれた。
 両氏に当初、飲食業界特有の習わしとして「どこも同じだ」との認識があったことは容易に想像できる。業界が抱える構造的問題の根深さを示していよう。
 背景には外食メニューは消費者を誤認させないための景品表示法でしか取り締まれず、店のモラルに頼らざるを得ない実態がある。
 景品表示法は、実際より「著しく優れている」と表示することを禁じる。ただ、「著しい」の判断が行政の裁量に委ねられ、あいまいなことが、事業者の不当な表示のエスカレートを許してきた面は否めない。消費者庁や関係省庁は、消費者の立場に立って、分かりやすい表示の基準や規制など必要な法整備を急ぐべきだ。
 観光立県の沖縄でもアグー豚や県産和牛など生産量をはるかに上回る量が流通しているのではないかとの指摘もある。県当局や関係業界を含めた対策が不可欠だ。



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