秘密法案と報道 国の強権行使を許すな

 2004年1月1日、琉球新報は、在日米軍の法的地位などを定める日米地位協定の裏解釈マニュアルである「日米地位協定の考え方」を特報した。

 米軍の基地運用を最優先し、日本側が、協定の条文以上に「解釈」によって譲歩を重ねる「対米従属」のおびただしい具体例が明らかになり、基地所在市町村長らの強い反発を呼んだ。
 文書の表紙に「無期限 秘」の印が押された機密文書だった。政権与党の自民党を含め、県選出・出身国会議員が国政調査権を掲げて、外務省に開示を迫った。
 文書を漏らした者がいるとして、外務省内で執拗な「犯人捜し」が続く中、約2週間後、本紙は13ページを用いて全文を掲載した。外務省は文書の存在を認めたが、「米側との信頼関係を損なう」としてかたくなに開示を拒んだ。
 国の安全保障にかかわる重要な情報を漏らした者に重罰を科す「特定秘密保護法案」に照らせば、国に都合が悪い日米関係の裏面を網羅した「日米地位協定の考え方」は「特定秘密」に指定される性質の文書であろう。
 特定秘密保護法案に関し、谷垣禎一法相と古屋圭司国家公安委員長が、公務員による「特定秘密」の漏えいがあった場合、捜査当局が報道機関を家宅捜索する可能性に含みを残した。
 特定秘密保護法が成立すれば、「日米地位協定の考え方」のような文書が報じられると、情報をもたらした者を突き止めるため、政府が報道機関への家宅捜索を強行したり、情報源を明かすよう迫る圧力を強める可能性が高い。
 広大な米軍基地の重圧にあえぐ沖縄にとって、基地運用の実態を暴き、県民の「知る権利」に応える報道は欠かせない。国が主張する安全保障上の“秘密”と報道活動は宿命的な対立関係にある。
 特定秘密保護をめぐり、政府は報道機関を例外とするが、政府や裁判所が「不当な取材」とみなせば、たちどころに処罰対象となるのである。
 自民党の町村信孝元外相は、「(知る権利が)国家や国民の安全に優先するという考え方は間違いがある」と発言した。だが、沖縄では、基地被害を生み出す米軍の活動にくぎを刺す報道は、県民の安全に結び付く。「秘密を守って民を守らない」秘密保護法は、報道の自由と国民の知る権利を侵す。あらためて強く廃案を求めたい。