ケネディ大使来日 県外・国外移設に転換を

 新駐日米大使となるキャロライン・ケネディ氏がきょう来日する。19日の信任状奉呈式を経て外交活動を本格化させる。普天間飛行場移設問題をはじめとする沖縄駐留の米軍基地問題を「非常に重く受け止めている」と公聴会で表明している。ぜひとも閉鎖・撤去、県外・国外移設を求める沖縄世論と向き合い、日米両政府が推進する名護市辺野古への移設計画を見直してほしい。

 ケネディ氏は1963年に暗殺された故ケネディ元大統領の長女だ。父ケネディ氏は大統領時代に人種差別廃絶を目指して公民権法を提案し、法案は次期大統領時代に成立した。公民権運動の先頭に立ったキング牧師がワシントン大行進で「私には夢がある」と演説したことに、ケネディ氏も「私も夢見ている」と同調している。
 大行進から50年後の今年8月28日、記念行事で演壇に立ったキャロライン・ケネディ氏は「今度は私たちの番だ」と述べ、キング牧師と父ケネディ氏が目指した差別を許さない社会実現の継承を誓った。差別と向き合うヒューマニストとして、米軍基地をめぐる沖縄への差別的政策を改めてほしい。
 普天間飛行場の名護市辺野古移設について知事、県内全市町村長が反対を表明し、県議会、全市町村議会も反対決議を可決している。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備も同様だ。沖縄の民意を踏みにじって新基地建設を推し進め、輸送機の強行配備が実施されている現実は沖縄への差別以外の何物でもない。ケネディ新大使が、この差別を解消するために尽力することを期待したい。
 普天間返還の日米合意を主導したジョセフ・ナイ元国防次官補は普天間移設について「沖縄県民の意思で決まるべきものだ」と述べた。ケネディ氏の助言者とされる米シンクタンクの外交評議会のシーラ・スミス上級研究員も「これ以上日米同盟の負担を沖縄に押し付けてはならない」と県外移設を主張している。
 行政、外交の実務経験がないことで手腕を不安視する声があるが、むしろ日米両政府内に巣くう硬直化した県内移設ありきの思考回路にとらわれていないという利点があるだろう。ケネディ氏には早い時期に沖縄を訪問してほしい。人権が踏みにじられている沖縄の差別的な現実を直視した上で、米政府が県外・国外移設へと方針転換するよう力を尽くすべきだ。