離島フェア 沖縄の多様性を誇りたい


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 「伝える 島の伝統 島の産物を」をキャッチフレーズに、「離島フェア2013」が17日までの日程で那覇市の沖縄セルラーパーク那覇で開かれている。

 今年で25回目の節目を迎えたが、年を追うごとに内容も充実し趣向を凝らしたイベントも増えている。今回も各離島の特産品販売や流通商談会に加え、伝統芸能公演や離島出身アーティストライブ、島々の味が堪能できる離島食堂、児童生徒の絵画展など魅力的な催しがめじろ押しだ。
 離島の活性化を後押しするフェアは、島の魅力と活力を体感できる場であると同時に、沖縄の多様性を再認識する絶好の機会でもある。ぜひ会場に足を運び、離島の“今”をその目で確かめてもらいたい。
 今年は県内18の離島市町村と鹿児島県の奄美市が参加。119社・団体が1011品目を展示・即売している。素朴な味わいが郷愁を誘う定番の特産品に加え、県外市場も視野に入れた新商品も数多く出展されている。特に消費者に魅力をアピールする訴求力や商品包装など近年の洗練度の向上には目を見張るものがある。
 伊江島物産センターは、ラム酒のリキュール「アイランドハイビスカス」で優良特産品の優秀賞を獲得するなど4年連続の受賞となった。入賞を契機に知名度が上がれば、島外への出荷増など“外貨”獲得に貢献できる。根強い人気のイエソーダをはじめ、ヒット商品を生み出す好循環が生まれつつあるのは頼もしい限りだ。
 県立八重山商工高校の仮想企業「美(ちゅ)ら島商娘(しましょうこ)」は、石垣島の特産品をふんだんに使った「もろみ豚の八重山カレーつけそば」を市内の若手経営者らと共同開発。限定500食をフェアの離島食堂で販売するが、顧客の生の反応を商品改良につなげるマーケティング実践の舞台ともなろう。
 海に隔てられた離島は、過疎化の進展など厳しい現実に直面するのも事実だ。しかしながら島の風土や歴史、伝統芸能など、それぞれがかけがえのない「宝物」を持っていることも確かだ。そうした独自の宝物を発掘し、磨き上げる島の人々の情熱と創意工夫こそが、地域活性化の道を切り開く原動力となる。
 県内の各離島がそれぞれ輝いて初めて沖縄の魅力も高まる。県全体で「しまちゃび(離島苦)」を克服する支援体制を構築したい。