秘密法強行採決 憲法を破壊する暴挙だ

 この国の憲法を破壊する暴挙で民主主義は著しく後退した。

 特定秘密保護法案は参院国家安全保障特別委員会で強行採決され自民、公明両党の賛成多数により可決した。政府答弁は二転三転し、納得できる説明がないまま泥縄式の対応で審議を打ち切った。「良識の府」が数の力による「翼賛の府」に変質した日として歴史に刻まれるだろう。
 審議は尽くされていない。依然としてどんな情報を秘密にするのか基準があいまいだ。政府の裁量が大きく「その他」という文言によって恣意(しい)的に解釈され、秘密が増え続ける可能性が高い。官僚による情報隠し、国民の「知る権利」が侵害される懸念は払拭(ふっしょく)されていない。
 次に秘密指定の妥当性をチェックする仕組みが不十分だ。安倍晋三首相は4日「保全監視委員会」の設置を表明、菅義偉官房長官は5日「情報保全監察室」を内閣府に設置すると説明した。
 政府内に設置される身内の組織であり、独立性や公平性は担保されない。第三者機関を求める一部野党を取り込むために慌てて考えた小手先の対応と映る。本来なら最初から法案に盛り込まれるべき仕組みであり、法案の欠陥を露呈したようなものだ。
 米国は情報公開法で知る権利が保障され、政府機関が所有する公文書を手に入れることができる。さらに国家機密情報解除イニシアティブ(NDI)という仕組みによって、25年たった公文書は一部を除き、自動的に機密解除され公開される。どんな情報が秘密なのかさえ秘密で、60年間も秘密にできる日本とは違う。
 特定秘密保護法案は、全ての情報を統制したナチスの全権委任法をほうふつとさせる。ナチスは当時最も民主的といわれたワイマール憲法を残したまま全権委任法を成立させることで骨抜きにした。
 秘密法は、改憲せずに知る権利や基本的人権など憲法の理念を形骸化させる。「ナチスの手口」にほかならない。
 秘密法が成立すると、過重な米軍基地を抱える沖縄はこの法律と向き合わざるを得なくなる。県民に都合の悪い情報は隠され、新基地建設に反対すればテロ行為と見なされる可能性がある。外交・防衛に関する県の情報収集すら対象となりかねない。国民の目と耳と口をふさぐ悪法は決して認められない。



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