公明県本県外堅持 ぶれない姿勢を貫こう


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 強権的な安倍政権の圧力に屈しないとする、多くの県民の意思を体現した決定と率直に評価したい。

 公明党県本部(糸洲朝則代表)は、米軍普天間飛行場の県外移設を求める仲井真弘多知事への提言書をまとめた。幹部が13日に知事と会い、名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請を承認しないよう申し入れる見通しだ。
 埋め立ての可否判断は今月末以降になる見通しだが、知事は多くの県民の思いを真摯(しんし)に受け止め、申請を却下すべきだ。
 県外移設を公約に掲げていた自民党の県関係国会議員や自民県連は11月下旬、安倍政権の強硬姿勢に屈して県民との約束を撤回し、辺野古移設容認に転じた。
 さらに自民党の石破茂幹事長は連立政権を組む公明党の井上義久幹事長に対し、同様の方針転換を県本部に促すよう求めていた。
 これに対し、県本部幹事長の金城勉県議は自身のフェイスブックで、1879年の明治政府による強権的な琉球処分になぞらえて強く反発。今月5日の県議会代表質問では「不作為による固定化を理由に、沖縄に基地を押し込めようとする権力に沖縄は断じてノーと言うべきだ。ウチナーンチュの魂の叫び、権力に対する抵抗の意思だ」と強く訴えていた。
 安倍政権はなりふり構わず、知事への圧力を強めているが、県政与党の公明党県本部が、知事の防波堤になるとの気骨が読み取れる。もとより、多くの県民の声が支えになっていることは、論をまたないだろう。
 注目すべきは、公明党県本部は今年9月に、基地問題プロジェクトチームを立ち上げていたことだ。普天間の県外移設や日米地位協定の抜本改定などを求める政策要求を理論的に構築し、知事が埋め立てを不承認とする環境を整える狙いからだ。安倍政権の本質を見抜き、今日の事態をも視野に入れていたならば、敬服に値する。
 今後とも政府はあの手この手で県民を分断させようと圧力を強めてくるのは目に見えている。公明党県本部には、県民の意を体して、今後とも、ぶれない姿勢を貫いてもらいたい。
 むしろ県内移設を断念するよう自民党への働き掛けを党本部に強く求めるべきだ。それこそが「人権、平和、福祉」を理念に掲げる公明党にふさわしく、連立政党としての存在意義にもなるはずだ。

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