秘密保護法公布 報道弾圧の悪法許されぬ

 政府は13日、特定秘密保護法を公布した。1年以内に施行するという。公布に合わせて秘密指定の妥当性をチェックする第三者機関設置の準備室を内閣官房に設けたが、国民の「知る権利」や報道の自由を保障する道筋は何も示されていない。政府は反対世論の沈静化に躍起だが、国民は強行成立に納得していないことを銘記すべきだ。

 法成立後、衣の袖から鎧(よろい)がのぞく事態があった。市民デモを「テロ行為」にたとえ批判を浴びた自民党の石破茂幹事長が今度は、記者会見で特定秘密の報道をめぐり「わが国の安全が極めて危機にひんするのであれば、何らかの方向で抑制されることになる」と述べ、報道機関への処罰を示唆した。すぐに訂正したが、それが政府、与党の本音だろう。
 石破幹事長はその後も「外へ出すと国の安全に大きな影響があると分かっているが報道する。(その結果)大勢の人が死んだとなれば『それはどうだろう』というのはある」と述べた。国民の知る権利に応える報道は、当然ながら高い公益性を有している。国や国民の安全を脅かすことを意図する報道があるかのような石破氏の言説は歪んでおり非常に危うい。
 秘密保護法は「報道、取材の自由に十分に配慮しなければならない」と明記する。しかし、今回の発言で配慮規定は当てにならず言論規制が十分あり得ることを、石破幹事長が自ら暴露したに等しい。このように為政者によっていくらでも恣意(しい)的に解釈、運用されかねない法律は公布自体、大問題だ。
 琉球新報は2004年に日米地位協定を解釈する外務省の文書「日米地位協定の考え方」を入手し、「増補版」も含め読者に伝える必要があるとして、全文を掲載した。外務省は現在でもこれら文書を「米側との信頼関係を損なう」として開示を拒んでいる。
 岸田文雄外相は先の国会で「増補版」が特定秘密保護法の特定秘密に該当するかについて「策定される統一的な運用基準に基づいて精査される」と述べ、指定の可能性に含みを残した。外相発言は、知る権利に応える公益性の高い報道であっても、官僚の恣意的な法運用で取材記者を萎縮させ、いざとなれば逮捕できることを暗示している。この法はこの国の民主主義にとって有害だと言わざるを得ない。やはり即刻廃止すべきだ。