辺野古見直し提言 普天間閉鎖こそ最良の選択


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 日米有識者がつくる「沖縄クエスチョン日米行動委員会」が米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古移設の代替案として、在沖海兵隊の大幅国外移転と同市キャンプ・シュワブ内への小規模ヘリポート建設を求める提言をまとめた。

 県民の反対が根強い辺野古移設案を現実的ではないと認識し、日米合意見直しを求めた点は評価できる。だがヘリポート新設には異議がある。1996年の日米の普天間返還合意以降、県内移設条件が返還の最大の障壁だったからだ。
 日米が喧伝(けんでん)する「沖縄の負担軽減」は進展するどころか、嘉手納、普天間両飛行場の基地機能強化、騒音被害激化など逆に負担が増加している。こうした中、ヘリポート新設が「小規模」で止まる保証は全くなく、県民も容認しまい。
 提言はうなずける点も多い。報告書では在沖海兵隊約9千人がグアム、ハワイ、オーストラリア、米本土に分散する再編計画に言及。再編後、沖縄に残る実戦部隊はわずかだと指摘し、埋め立てを伴う辺野古移設計画に疑問を呈した。
 行動委の米側座長マイク・モチヅキジョージ・ワシントン大教授は、事前集積艦を日本に配備しておけば、不測の事態には米本国から兵員を飛行機で急派、即応能力を落とさず対応が可能とした。
 日本側座長の橋本晃和桜美林大大学院特任教授は、アジア太平洋の安全保障環境の変化を見据え、在沖海兵隊の沖縄への固定化について「効率・効果を欠いた古い軍事的産物」だと指摘する。沖縄がソフトパワーを備えたアジア太平洋における平和と繁栄の「要石」となることこそ「真の日米同盟の深化」につながるとも提起。今回の提言は、不戦・平和を願う県民の共感も一定程度得られよう。
 普天間返還をめぐっては、辺野古移設を主導してきた日米の関係者の間で見解が変化している。
 知日派の重鎮ジョセフ・ナイ氏(元米国防次官補)は「(県内移設計画が)沖縄の人々に受け入れられる余地はほとんどない」とし、在沖海兵隊の豪州移転を主張する。普天間移設先について、森本敏前防衛相は「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適」と本音を明かしている。
 日米両政府も辺野古移設を断念するべきだ。普天間の県外・国外移設、閉鎖・撤去こそ持続可能な日米関係につながる最良の選択だ。