普天間停止要求 口先の空約束は通じない


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 あまりにあけすけな口ぶりである。米国防総省のウォレン報道部長は仲井真弘多知事が安倍晋三首相に要請した5年内の普天間飛行場の運用停止について「できない」とにべもなかった。

 政府は「辺野古に代替基地が完成していれば」との条件付きで、5年内運用停止を請け合うつもりだったかもしれない。空約束だが、当座のところ沖縄の反発をかわせると見込んだのではないか。首相が「最大限努力する」と言っていたから、少なくとも「前向き」な姿勢くらいは示すつもりだったのだろう。仮にできなくても「代替基地が完成していないから」という逃げ道が用意されている、というわけだ。
 そんな「芝居」ができないよう、早速米国からくぎを刺されてしまった格好だ。沖縄は、「朝三暮四」の猿ではない。政府は、もはや口先だけの「負担軽減」では通用しないと知るべきだ。
 それにしても、米国の言いぶりには怒りを覚える。「日本の国内問題だ」という姿勢のことだ。
 沖縄の被害は、事件事故にしろ騒音にしろ環境汚染にしろ、米国の軍隊が起こしていることだ。米国は当事者そのものである。特権的な日米地位協定も米国が求めたものだ。人ごとのような口ぶりは許しがたい。
 その地位協定の改定要求も、「われわれは改定に合意していない。今後交渉を始めることも考えていない」と即座に却下した。これで「米国は引き続き日本や地域のパートナーを支援する」とは、空々しいにもほどがある。
 地位協定の改定要求は、特別な「わがまま」ではない。日本が主権国家であるなら当然行使できることを行使できるように、という当たり前の求めにすぎない。
 現状は犯罪者も基地に逃げ込めば逮捕もされず、証拠隠滅も口裏合わせもやりたい放題。環境汚染をしても連絡せず、地域の人の立ち入り調査さえたびたび拒む。夜中の3時に110デシベルもの爆音を響かせる。ニューヨークで日本人がそんなことをして許されるのか。
 異民族の「同盟国」に、68年間も軍隊を駐留させ、しかも特権的地位を続けたのは第二次大戦後の米国だけだ。世界史的にも例のないそんな二国間関係は、不安定要因であることに米国も気付くべきだ。そして、持続可能な、対等な関係を築き直すべきなのだ。