沖縄経済展望 アジア活力を追い風に 人材育成が飛躍の鍵

 2014年の沖縄経済は13年に引き続き拡大基調で推移する見通しだ。景気の明るい先行きを確かなものとし、県全体の底上げとさらなる飛躍につなげたい。

 県内専門家5氏の予測によると、4月の消費税増税による景気の一時的な落ち込みはあるが、その影響は限定的にとどまるもようだ。県内景況の総合評価が、リーマン・ショック前の水準に戻るなど、景気の足取りはより強まるとの分析だ(1日付本紙)。
 国際物流拠点(ハブ)の拡大や外国人観光客の入域増などアジアの活力を取り込む動きも加速しよう。楽観は禁物だが、悲観することなく前を向いて歩みたい。

21年ぶりの高水準

 13年の沖縄経済を振り返ると、個人消費、観光、建設が好調で、拡大基調で推移した。日銀の企業短期経済観測調査(短観)が好調な沖縄経済を映した。9月調査の業況判断指数(DI)はプラス24と21年ぶりの高水準を記録。12月調査もプラス18で「良い」超が7調査連続と16年半ぶりの拡大基調となった。各機関の景況判断も上方修正が相次いだ。
 特に入域観光客数は、格安航空会社(LCC)効果や円安傾向による海外客の急増などで600万人を突破し、過去最高を大幅に更新することが確実だ。県経済の基幹産業と位置付けられて久しい観光は、国際化への対応促進など新たなステージに入ったと言ってもよいだろう。
 アジアに近い沖縄の地理的優位性を生かした物流ハブ形成の動きも着実に進展した。
 全日本空輸の国際航空貨物事業を基本インフラに、ヤマトグループが宅配事業に加え、新たにパーツ(部品)センターの運営を始めたほか、ネット通販の楽天市場などの新規参入もあった。国内大手の相次ぐ事業展開は物流ハブの可能性の大きさをあらためて証明するものであり、心強い限りだ。
 昨年11月に宜野湾市で開かれた国際商談会「沖縄大交易会プレ交易会」も、県産品や全国の産品のアジア展開に向けた可能性を示した。世界16カ国から79社、県外23社のバイヤー(仕入れ担当者)が参加。食品業者を中心に県内70社、県外61社が出展する国内最大級の大型商談会となり、約7割のバイヤーが手応えを示した。
 今年の大交易会本番は、アジアの成長や活力を取り込む試金石となるだけに期待は膨らむ。
 県産品のアジア輸出は着実に伸びているとはいえ、規模はまだまだ小さい。大交易会を海外展開の起爆剤とするためにも、沖縄の独自性の追求とともに、高付加価値化の取り組みが不可欠であることをあらためて肝に銘じたい。

雇用ミスマッチの解消

 景気回復の着実な足取りは雇用情勢にも表れている。昨年11月の県内の有効求人倍率(季節調整値)は0・58倍で、1972年の本土復帰以降の最高値で推移。同月の完全失業率も前年同月比1・1ポイント改善し4・8%となった。4%台は18年ぶりとなった6月、10月に続き3度目だ。
 一方、好況な観光や建設などの分野で人手不足が深刻化しつつあり、今後は雇用のミスマッチが顕在化する懸念も指摘されている。賃金や待遇面の格差の改善がミスマッチ解消の鍵を握るが、「言うはやすし行うは難し」でもある。
 しかしながら答えは自明だろう。「人が唯一の財産であり宝」(新垣淑典・沖縄ビル管理社長)、「私の役割は人が育つ環境を整えることだけ」(仲田憲仁・エールクリエイト社長)、「社員教育が経営の柱」(具志堅一真・三和金属社長)。
 本紙元日号のトップインタビューからの抜粋だが、人材育成が企業経営の原点であることをあらためて確認したい。創造性の発揮も高付加価値化も海外進出も、ましてや産業振興は人材育成なくして達成は困難だ。これからの沖縄経済を担う人材を徹底的に育てていきたい。



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