県内仕事始め 時代開く実行力に期待


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 厳しい環境は続くが、沖縄経済には光が見えている。地域密着、顧客重視、変革の意識を持ち続け、時代を切り開く価値の創造と人材育成に努めたい-。

 官公庁、多くの企業が仕事始めとなった6日、県内企業のトップが示した抱負をまとめるとこうなるだろうか。総じて力強い。
 「難局に挑む」「実行力」「喜」「新たな発想」「アジアとの懸け橋に」。各企業トップが語ったキーワードには、2014年を見通し、沖縄経済を底上げする気概が息づいている。
 「時代見据え熟慮」を掲げた平良朝敬かりゆしグループCEOは「基地問題も含め、沖縄の将来を一人一人が真剣に考える年にしていきたい」と結んだ。米軍基地問題に翻弄(ほんろう)される沖縄の社会状況に立ち向かい、新たな地平を切り開こうという経済人の気概と問題意識には十分うなずける。
 環太平洋連携協定(TPP)の参加交渉の推移によっては、サトウキビ産業が存亡の危機に立たされるJA沖縄中央会の新崎弘光会長は「農業や地域社会を守る運動を徹底する」と危機感をにじませた。県内農業の盛衰に直結しかねないTPP交渉は、行政を含め経済界が神経を研ぎ澄ませて対処せねばならない課題である。
 一方、年明け最初の東京株式市場は6日、前年末の急速な株高を警戒し、日経平均株価は6年ぶりに下落した。7日は1万5800円台を割り込んで終わった。
 安倍政権の経済政策(アベノミクス)による2013年の株高傾向に冷や水を浴びせた格好で、先行き不透明感も漂っている。
 4月には今年最大の難関である消費増税が待ち受けている。県内でも消費の落ち込みによる景気の一時的な落ち込みは避けられまい。基幹産業に成長した観光は、旅行の手控えなどによる影響を受ける恐れがある。
 だが、県内の経済専門家は、県内景況が2008年秋のリーマンショック以来の世界的不況前まで戻り、ことしも景気の足取りは強さを増すと観測している。
 消費増税の影響を最小限に抑え、各企業には、さらなる顧客サービスの充実と商品の品質向上を図りつつ、社員の待遇改善を両立してほしい。県内の消費を呼び込む相乗効果を生み出し、経営者の言葉倒れに終わらない実行力が発揮されることを期待したい。