米軍ヘリ墜落 同型機の飛行を中止せよ


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 米軍機が昼夜の区別なく飛び交う沖縄にとっては決して対岸の火事ではない。訓練中の米軍ヘリコプターが英米で2日続けて墜落し、乗員に多数の死傷者が出た。

 7日は英南東部の沿岸部で米空軍所属のHH60Gが墜落し、乗員4人が死亡。8日は米南部の沿岸から約30キロ沖の大西洋に米海軍のMH53E掃海ヘリが墜落し、乗員5人のうち2人が死亡、1人が行方不明となっている。両事故とも原因は不明だ。
 いずれのヘリも同型機が嘉手納基地や普天間飛行場に配備されており、くしくも県内でも両タイプとも墜落事故を起こしている。
 果たして偶然の一致で片付けられるだろうか。機体に欠陥があるか、訓練の在り方に問題があるか、その両方かだ。人口密集地であれば大惨事につながる墜落事故は本来あってはならない。米軍は原因究明がなされるまで、少なくとも同型機の飛行を中止すべきだ。
 HH60救難ヘリは昨年8月、宜野座村の米軍キャンプ・ハンセン内に墜落炎上したが、米軍は事故原因について、5カ月経過した今も明らかにしていない。宜野座村は水源汚染の懸念があるとして、墜落現場近くにある大川ダムからの取水を停止したままだ。米軍の不誠実な対応はあまりに身勝手で地元軽視の極みだ。
 9日には嘉手納町上空でHH60ヘリ2機が夜間飛行しているのが確認されている。海外での墜落事故といえ、県民にはひとごとではない。わずか2日後の訓練飛行は、米軍機墜落の危険と背中合わせの地域住民の感情を逆なですると思い至るべきだ。
 一方のMH53Eヘリは、2004年8月に沖縄国際大学に墜落した米海兵隊のCH53Dの同型機だ。普天間飛行場の危険性を内外に示した大型ヘリで、忌まわしい墜落事故をいや応なしに想起させる。
 昨年4月には普天間所属のCH53Eが韓国と北朝鮮の軍事境界線近くで着陸に失敗し炎上している。
 これだけ事故が続くと、「未亡人製造機」とやゆされるオスプレイ同様、欠陥機と疑わざるを得ない。
 沖縄では、普天間飛行場に配備されたオスプレイによって、空の危険性が著しく増大している。重大事故が発生してからでは取り返しがつかない。日米両政府は危険性の除去を真剣に考えるのであれば、普天間飛行場を直ちに閉鎖し、撤去すべきだ。