新成人へ 沖縄の未来 共に築こう


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 きょう13日は「成人の日」。全国で121万人、県内では1万7136人が晴れて大人社会の仲間入りをした。心から「おめでとう」と祝福し、歓迎したい。

 期待と不安が入り交じる中で門出の日を迎えたことだろう。県内外の政治、社会情勢は厳しいが、若者らしい気概や感性、行動力で未来を切り開いてほしい。
 3年前に起きた大震災の影響は依然深刻だ。原発事故収束の見通しも立たないまま、復興も道半ばの状況だ。
 一方、戦後の平和国家としての歩みも危うくなっている。昨年は世論の強い反発を押しのけ特定秘密保護法が成立し、憲法改正の動きも本格化している。尖閣諸島の領有権問題や歴史認識問題で、韓国や中国との緊張関係も続く。
 労働者の約4割が非正規など、特に若者を取り巻く雇用環境も厳しい。それが、いわゆる「格差社会」あるいは「不平等社会」の一因になっている。社会全体でこれを克服し、暮らしや経済を立て直していく必要がある。
 沖縄の状況はより厳しい。米軍普天間飛行場の返還移設問題では、名護市辺野古移設に反対し県外移設などを求めてきた沖縄側の結束が揺らぎ、重大な岐路にある。
 普天間返還が日米合意されてからもうすぐ18年になる。皆さんの人生と同じくらいの期間、この問題は迷走を続けているのだ。憲法や安全保障をめぐる現在の政治状況なども含め、大人社会の責任の大きさを感じざるを得ない。
 しかし、皆さんもこれから、こうした政治・社会問題にしっかりと向き合う必要に迫られる。よりよい社会、沖縄を築くために共に議論し、力を合わせよう。
 今年は19日に迫った名護市長選をはじめ、県知事選を頂点に多くの市町村で首長や議会の選挙が行われる。絶好の機会だ。早速選挙権を行使し、意思表示すべきだ。
 貧困や飢餓、環境など国際社会も多くの難題を抱える。こうした事にも関心を持ち、視野を広げたいものだ。
 内外の情勢は厳しいが、沖縄は一方で魅力と可能性を秘めた土地柄だ。スポーツや芸能の分野では多くの逸材を輩出している。経済分野でもアジアとの関係の中で発展することが期待できる。
 社会の閉塞(へいそく)感を晴らし、展望を開く上で若者の果たす役割は大きい。向上心を持ち続けて個人力を高め、社会に還元してほしい。