名護市世論調査 市民の要求や疑問に応えよ


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 19日投開票の名護市長選挙で、有権者は基地問題を重視していることが、琉球新報社と沖縄テレビ放送が行った世論調査で分かった。投票する候補者を決める基準として「米軍普天間飛行場の移設などの基地問題」を挙げる人が56・7%で最も多かった。

 前回選挙では「基地問題」は3番目で19・0%にとどまっていた。普天間返還・移設問題が今選挙の最大の争点であることが、世論調査によっても裏付けられた。
 末松文信、稲嶺進両候補は有権者の期待や注文をしっかり受け止め、選挙戦を通じて自身の政策を具体的かつ丁寧に説明してほしい。
 普天間問題の解決方法では「無条件の閉鎖・撤去」「国外移設」「県外移設」「辺野古以外の県内移設」を合わせると83・7%。辺野古移設は9・0%にとどまった。
 昨年末に琉球新報などが実施した県民世論調査では辺野古移設否定は80・2%だった。名護市民が高い比率で辺野古移設に異議を唱えたのは、名護の命運を左右する選挙として移設問題により真剣に向き合っている証左だろう。
 辺野古移設の是非のほか、両候補は経済・雇用政策にも力を入れる。末松氏が新基地建設を含め地元優先発注・採用を、稲嶺氏が6次産業化推進で新規雇用創出を掲げ、論争を活発化させている。
 世論調査によると、重視する政策で2番目に多いのは経済振興・雇用対策の18・6%だ。これに医療福祉・教育10・6%、環境問題5・0%が続いた。
 政権与党はこうした民意に当然、真摯(しんし)に耳を傾けるべきだが、聞こえてくるのは市民感情を刺激するような発言ばかりだ。
 仲井真弘多知事の辺野古埋め立て承認を受けて、石破茂自民党幹事長のほか、官房長官、外相、防衛相らが市長選の結果にかかわらず移設計画を進める考えを示している。有権者に審判を仰ぐ選挙で、候補者や支持政党が論戦を繰り広げるのは自然だが、国民に奉仕すべき政府が露骨にくちばしを挟むことには強い違和感を覚える。
 市長選への関心度は「大いに関心がある」(65・9%)、「ある程度関心がある」(27・4%)で93・3%に上った。前回選挙の世論調査より3ポイント上昇した。
 両候補や支持組織には、市民の要求や疑問、夢を直視し、正々堂々とした政策論争を求めたい。