沖縄・北海道連携 双方の魅力と素材を形に


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 県産業振興公社(知念栄治理事長)と北海道科学技術総合振興センター(ノーステック財団、近藤龍夫理事長)が、沖縄と北海道の特産品を生かしたオリジナル商品の共同開発など経済交流活発化を目的とした連携協定を結んだ。

 自然環境や歴史文化が異なる、日本の北と南の地域同士の連携強化は地域連携による新たな高付加価値製品とビジネスモデルを生み出す可能性が十分にある。日本の多様性や奥深さを発信する上でも意義深い。
 今回の連携協定が着実な成果を上げ、沖縄と北海道双方の振興と発展につながるとともに、国内外経済の活性化にも寄与することになるよう期待したい。
 協定は(1)食の機能性研究の連携(2)食品・ライフサイエンス産業のビジネスマッチング(3)情報交換および連携-などの内容だ。
 協定調印式で知念理事長は「北海道と沖縄は亜寒帯・亜熱帯という自然環境の中で競合が少なく連携しやすい」と述べたが、これが連携の最大の利点だろう。
 その自然環境が育んだ農産物などの素材を生かし、健康食品や化粧品などの商品開発をどう進めていくのか。双方にとってやりがいと手応えがあるはずだ。
 北海道には食の総合産業化を拡充する「フード特区」が設定されており、健康食品に関する独自の臨床システムが構築されている。
 そのシステムも活用しながら、沖縄と北海道の素材を組み合わせた新製品を本年度中にも進める計画だ。北の素材と市場が加わることは6次産業化を図る生産者や食品業界にも有益だろう。
 沖縄は、昨年4月には県の「沖縄ライフサイエンス研究センター」が設立されるなど、アジア市場も見越したバイオ産業拠点としての期待も高まっている。今回の連携協定はこれも後押ししよう。
 沖縄の国際航空貨物ハブ(拠点)機能も連携を支える。
 国際航空貨物ハブ機能を活用し香港などアジアで飲食店を展開する県内企業が北海道ぎょれんと連携して食材の輸出を図る動きが既にあるが、北海道側がアジア市場で販路を拡大する上で沖縄のハブ機能は大きな役割を果たすに違いない。
 近藤理事長は「北海道・沖縄双方にとって実効ある成果を生み出していきたい」と述べた。北と南の共同作業が紡ぎ出す、魅力ある作品を見せてほしい。