県内外識者表明 良識派と連携深めたい


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 今年に入って普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する識者による声明が国内外で次々と出されている。27日には県内外の有識者やジャーナリストら65人が名護市辺野古への移設断念と普天間飛行場の早期閉鎖を求める緊急声明を発表した。良識派が「辺野古」に目を向け始めていることの表れであり、その動きを歓迎したい。

 県内識者の声明は、名護市長選の結果について「名護市民だけでなく、沖縄の人々による沖縄に新たな基地は要らないという態度の表明である」と位置付けた。知事埋め立て承認後に琉球新報などが実施した県民世論調査で県外・国外移設と無条件閉鎖・撤去を求める声が合わせて73・5%に上ったことをみても、声明の主張は事実に即している。
 沖縄では1950年代、米軍が銃剣とブルドーザーで住民を追い出し、家屋を次々となぎ倒して基地建設を進めた。一方で同じ時期に日本では反基地運動の高まりで海兵隊が出て行かざるを得ない状況になり、岐阜や山梨に駐留していた第3海兵師団が沖縄に移駐した。普天間基地に駐留する第1海兵航空団も76年に岩国から移った部隊だ。沖縄への基地集中は県外からの基地移転の結果である。
 辺野古移設計画は現在、沖縄の民意を無視する形で進められている。60年前に沖縄の住民意思を踏みにじる形で進められた基地建設と何が違うだろうか。異なるのは、当時は米側の意思だけで強行され、今は日米両政府が推し進めているということだけだ。
 声明を提案した宮里政玄沖縄対外問題研究会顧問は「米国や日本本土のように沖縄にも公平な扱いを受ける権利がある」と訴えた。多くの県民が抱く不平等感とその解消を求める声を代弁している。
 国内の研究者18人が出した声明では「本土が、自ら引き受けられない米軍基地を沖縄に押し付け、新たな基地建設まで強行するのは無責任の極みではないか。このような沖縄差別政策をいつまで続けるのか」と呼び掛けた。こうした考えを日本全体が共有すべきではないか。
 「これ以上、新たな基地は要らない」との沖縄の主張は、人間の尊厳を守るための極めて「普遍的な権利の主張」(宮里政玄氏)だ。県民は世界で支援が広がっていることに自信を持っていい。国内外の良識派と連携を深めていきたい。