健康経営宣言 会社挙げて意識改革を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県内の経営者団体、医療・保健関係者、労組、学識経験者らで構成する県産業保健推進協議会が経営者に対して、従業員の健康を大切にする「健康経営宣言」をするよう提言した。ウオーキングなど職場を挙げた取り組みで従業員の肥満や生活習慣病の解消を進めようという取り組みだ。県内企業に健康づくりへの積極的な意識が広がることを期待したい。

 昨年発表の2010年平均寿命で沖縄県の女性が1位から3位、男性が26位から30位に転落するなど、歯止めがきかない。その要因として20歳から64歳までの働き盛りの脳出血、急性心筋梗塞、慢性肝疾患・肝硬変などの生活習慣病による死亡率が全国より高いことが挙げられる。
 12年の職場健診では何らかの異常所見が認められる人の割合(有所見率)は63・9%で、3人に2人に上る。有所見率の高さは11年から連続でワーストだ。11年の肥満者の割合は男女とも全ての世代で全国平均を上回り、特に男性は20代は3割、30代は4割、40~60代は5割を超えている。働き盛りの世代の健康がむしばまれている現状は由々しき問題だ。
 働き盛りの生活習慣病は個人の生活習慣だけでなく、働き方や職場環境などに起因するといわれている。こうしたことから社員の健康管理を個人の責任に委ねるのではなく、事業者が積極的に関与していくことは時代の要請と捉えるべきだろう。
 従業員の健康を維持、改善し、会社の生産性を向上させる企業運営は「健康経営」という概念で呼ばれるようになった。健康増進に積極的な企業は社会的にも高い評価を得られるとの認識も次第に広がっている。今回の協議会が企業に求めている「宣言」は県内企業に「健康経営」の理念を浸透させることが狙いで、意義深い。
 県内企業のうち労働者50人以上の事業所では約6割で健康教育が実施されている。しかし労働者の7割を抱える50人未満の事業所では4割しか実施されていない。働き盛りの健康改善を進めるためには50人未満の事業所に「健康経営」の考え方をどれだけ普及できるかが鍵となる。
 従業員が健康なら、企業の生産性も向上するという認識を経営者の間で共有したい。会社と社員双方で健康に対する意識改革を進め、ウオーキングの実施など職場での健康づくりを積極的に進めたい。