14年度県予算 制度を見直した方がいい


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 2014年度県予算案が固まった。過去最高の7239億円となる総額は確かに多い。歓迎すべきだろうが、事業の計上の仕方を見ると、旧来型の観が深い。

 予算はもう、量もさることながら、質を重視すべき時代に入っているのではないか。県の自治力を磨き、実需に合った予算編成とするべく、予算制度を抜本的に見直した方がいい。
 14年度予算額が膨らんだのは一括交付金の増額が背景にある。一括交付金には「自由度の高い」との枕詞(まくらことば)が付くのが常だが、実態は名ばかりと言わざるを得ない。
 通常、交付税は、いわゆる「中央省庁のひも付き補助金」とは異なり、使途は自治体の裁量に委ねられる。だが沖縄の一括交付金は、例えば事業額の8割を一括交付金で賄い、残り2割を「裏負担」、すなわち自主財源から賄うという仕組みである。それなら従来型の補助金と何ら変わらない。
 しかも人件費を伴う事業は困難だ。例えば全小中学校に30人学級を実現するといった案は国が却下するだろう。教員の加配が必須で、人件費を伴うからだ。だが真の意味で振興発展しようとすれば人への投資は不可欠であろう。それなのにそれが制限されるのでは、自由度が高いとは言えない。
 これは後年度の予算の形が拘束されるのを嫌うからだろう。維持管理費への充当ができないのも同じ意味合いだ。
 だが人材育成に長期的観点は不可欠だ。資源の乏しい沖縄ならなおさら人材育成に全力を注がねばならず、それが制約されるのは、沖縄特有の需要に応じた予算編成とは言えないのではないか。
 一括交付金は地方分権の文脈で出てきた話だ。自治体に裁量権を委ね、地方の実需に応じた予算編成をできるようにすることで、地方の発展を図るのが狙いだった。
 沖縄県の要求も当初はそうだった。補助金を一括交付金に振り替えること、補助金適正化法の適用除外を求めていたはずだ。それがいつの間にか適用除外の話は消え、交付金の額だけが問題にされるようになった。
 今回の予算案は確かに、紙面に紹介された個々の事業は納得のいくものが多い。だがそれは新規事業がほとんどだ。それ以外に無駄が潜んではいまいか。財政規律を確保する上でも、自治力を磨く上でも、実需に応じた編成を可能にする予算制度を探りたい。