飲酒運転ワースト 「飲んだら乗るな」徹底を


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 悲惨な交通事故を教訓に、私たち県民は飲酒運転撲滅を固く誓ったはずだ。一瞬で人生を棒に振りかねない飲酒運転の危険性と恐ろしさを、県民一人一人があらためて肝に銘じなければならない。

 2013年に県内で発生した交通死亡事故51件のうち、飲酒絡みの事故が10件と全体の19・6%に上り、全国平均6・6%の3倍となったことが県警のまとめで分かった。09年以来4年ぶりに全国ワーストとなる。
 飲酒絡みの死亡事故に占める比率は10~12年も全国2位と高水準で推移していた。人身事故に占める飲酒運転の割合も24年連続で全国ワーストが確実視されている。
 これらの結果は、飲酒運転に対する県民の危機意識やモラルが依然低いことを示しており極めて深刻に受け止める必要がある。「飲酒運転天国」とも揶揄(やゆ)される不名誉な地位返上に向け、飲酒運転を許さない意識改革を徹底したい。
 1999年に女児2人が死亡した東名高速道路でのトラック追突事故や、2006年に幼児3人が死亡した福岡市職員による追突事故など、重大事故を契機に飲酒運転撲滅に向けた機運が全国的に高まり、厳罰化も進められてきた。
 最高刑を懲役20年とする危険運転致死傷罪(01年施行)や、法定刑の上限を懲役5年から7年に引き上げた自動車運転過失致死傷罪(07年施行)などだ。昨年11月には、罰則をさらに強化した「自動車運転死傷行為処罰法」が成立。最高刑は懲役15年でことし5月までに施行する。危険運転致死傷罪の立証のハードルが高く、自動車運転過失致死傷罪との量刑の差がありすぎると被害者遺族が見直しを求めていたためだ。
 もちろん厳罰化だけでは飲酒運転はなくならない。再発が多いとされる背景には、アルコール依存症の存在も指摘されており、県警や医療機関などが連携した対策も不可欠となる。
 飲酒運転は被害者や加害者の人生を狂わせるだけでなく、それぞれの家族をも奈落の底に突き落とす。厳罰に加え、損害賠償責任を負う加害者の経済的負担は計り知れない。
 「自分だけは大丈夫」との甘い考えの行き着く先には、取り返しのつかない厳しい現実が待ち受けていることを各人が自覚する必要がある。「飲んだら乗るな。乗るなら飲むな」を徹底する社会を築き上げたい。