百条委設置 知事は全てを説明せよ


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 県議会が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた仲井真弘多知事の埋め立て承認を審議する調査特別委員会(百条委員会)を設置した。承認の経緯、理由など真相を徹底究明せねばなるまい。

 野党側は設置の提案理由説明で「突然の埋め立て承認は全く不可解で、県民への説明責任が果たされていない」と指摘した。県民の多くが共感するだろう。
 仲井真知事は埋め立て承認を発表した際、「申請は、現段階で取り得ると考えられる環境保全措置が講じられており、基準に適合している」と説明したが、発表文で理由に触れたのは冒頭のその一文だけだった。
 1月の県議会臨時会では「法の基準に適合しており、承認せざるを得ない」などと答弁したが、具体的な説明は極めて乏しかった。環境影響評価書段階の知事意見で「自然環境の保全を図ることは不可能」と指摘していた自身がなぜ承認したのかという点など、疑問点は数多く残されたままだ。
 知事はこの間、承認は行政手続き上の判断だとの考えを強調してきた。だが情報公開請求では、県が審査の中で「普天間飛行場の危険性除去が喫緊の課題であり、移設先の確保という点から合理性が認められる」と政治判断していたことも分かった。基地建設に関する政府の主張を追認する判断が単なる実務的判断であるはずがない。
 野党側は知事が選挙で辺野古移設を確認した日米共同声明の見直しと県外移設を公約していたことなど、過去の言動との矛盾点を突いている。特に承認を前に突然、普天間の5年以内の運用停止などの条件を政府に求めた経緯などを包み隠さず説明すべきだ。
 知事は上京の際に閣僚や与党幹部との非公式会談を重ねてきた。埋め立て判断が迫っていた昨年11月末に菅義偉官房長官と密会。12月下旬は入院中だった都内の病院を抜け出し、菅氏と極秘会談。1月下旬にも菅氏や石破茂自民党幹事長と密会したが、その事実さえ認めていない。
 「県民の多くが抱いている、なぜ、県民の願いに反して承認したのか、何が起こったのかという疑問、不信を解明することは、いま緊急に求められていることだ」
 提案理由の中のこの指摘にどう答えるのか。誠心誠意説明を尽くすことが、議会や県民から辞職を求められている知事が取るべき道であることは言うまでもない。

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