辺野古にF35B 移設計画は破綻している


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 日米両政府が名護市辺野古への移設計画を進めている米軍普天間飛行場代替施設に、米軍が米最新鋭のF35Bステルス戦闘機の離着陸を想定していることが分かった。

 沖縄防衛局の職員が「運用上多分可能だ。あり得ると思う」と話し、同機の基地使用を認めた。新基地に戦闘機が離着陸する可能性が明らかになったのは初めてだ。両政府は県民に正直に説明すべきだ。
 沖縄防衛局は琉球新報に対して、職員の発言を否定も肯定もせず「米国政府は普天間飛行場代替施設から戦闘機を運用する計画は有していない」と従来の政府説明を繰り返した。小野寺五典防衛相も会見で同じ言葉で回答している。
 「計画を運用する計画は有していない」と説明されても県民は信用すまい。2012年10月に普天間飛行場に配備された垂直離着陸輸送機オスプレイについても、日本政府は米側から配備を告げられながら、15年間も「関知せず」と虚偽の説明をしてきたからだ。
 F35Bの基地使用についても、直前に説明するつもりではないのか。今回は職員が口を滑らせたことで判明した。いい加減に詐欺的な隠し事はやめるべきだ。
 F35Bは米軍再編で17年までの国内配備が明記され、米軍岩国基地のAV8Bハリアー攻撃機の後継機として配備される見通しだ。同機はハリアーと同様に垂直離着陸が可能で、新基地の1800メートル滑走路でも十分離着陸が可能だ。
 普天間飛行場ではこれまでにも岩国所属のハリアー攻撃機が離着陸している。普天間代替基地ができてしまうと後継機のF35Bが離着陸すると考えるのが自然だろう。職員の発言はそれを裏付けた形だ。
 辺野古移設計画の環境影響評価(アセス)ではF35Bなど戦闘機の離着陸を想定した住民生活への影響は調査されていない。戦闘機が離着陸するのなら、アセス自体が事実上破綻する。知事は埋め立て申請を承認したが、前提が変わっており、承認は無効と考えるのが筋だ。国は手続きの瑕疵(かし)を認めるべきだ。
 新基地の滑走路をV字型にしたのは住宅地上空の飛行を回避し、騒音被害を軽減するためだった。F35は戦闘機の中でも騒音が大きく、住宅地への騒音被害は回避できまい。V字滑走路の効果はなく、計画の虚構性は明白だ。辺野古移設を断念し、普天間の撤去・閉鎖、県外・国外移設を模索すべきだ。