辺野古百条委 知事は洗いざらい話せ


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 謎は深まるばかりだ。県議会の調査特別委員会(百条委)で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て申請に対し、環境保全への懸念が払拭(ふっしょく)できないと結論付けた県環境生活部の意見に変更がないことが分かった。

 環境保全への疑問点が払拭できないまま埋め立てを承認したとすれば、「環境保全への十分な配慮」を定めた公有水面埋立法4条に違反する。21日の百条委で仲井真弘多知事は埋め立て承認までの決定過程を全て明らかにしなければならない。説明できないなら承認撤回が筋だ。
 県土木建築部と農林水産部が昨年11月12日、知事に提出した中間報告書には、環境保全への配慮について「環境生活部の見解を基に判断する」という方針が示された。環境生活部が同月29日、環境保全を懸念する意見を提出後、防衛局から新たな保全策は示されていない。だが知事は昨年12月27日、「現段階で取り得ると考えられる環境保全措置などが講じられており、基準に適合している」と承認した。担当部の意見を無視して、何を根拠に「措置が講じられた」と言うのか。
 11月の中間報告の段階で県外移設の方が「合理的かつ早期に課題を解決できる」と評価しながら、12月下旬の審査の最終結果で一転、辺野古移設に「合理性が認められる」としたのはなぜか。
 安倍晋三首相と仲井真氏との会談記録を県は作成していないという。承認までの知事とのやりとりを記録する「調整メモ」も存在しないのか。承認判断に至った過程があまりにも不透明すぎる。
 仲井真氏は2期目の出馬の際の公約に「県外移設を求める」と掲げた。当時の記者会見では「(県内移設受け入れの可能性は)まずなくなった」とも述べている。そして承認直前まで県議会で県外移設を訴えていたはずだ。
 かつて環境問題で揺れた新石垣空港建設で、当時の西銘順治知事は空港設置許可申請の準備が整っていたにもかかわらず見送った。知事選を1週間後に控えていたため有権者の判断を仰ぐことにしたのだ。選挙に敗れた西銘氏は残りの任期中に申請することも可能だったが、「次の知事の判断を仰ぐ」として保留した。公約はそれほど重い。
 県議会は首長を監視する役割を担う。百条委はその機能を発揮して全容を解明してほしい。