海兵隊の小幅削減 根拠薄い沖縄駐留改める時


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 米議会の重鎮議員から「戦争の遺物」とまで酷評された米海兵隊の削減が小幅にとどまる。

 ヘーゲル米国防長官は、国防予算の強制削減に伴う米軍配置に関し、在沖部隊の再編が検討されている海兵隊を現行の約19万人から削減しても、17万5千人規模を保つと表明した。検討されていた15万人への削減は不発に終わった。
 中国の軍事的台頭などをにらみ、ヘーゲル長官は、アジア太平洋地域での前方展開を続ける方針を再確認した。だが、海兵隊の主な任務について、大規模紛争への対処には触れず、「危機対応」や「大使館警備」を挙げるにとどめた。
 長官はイラク、アフガニスタンでの戦争集結を挙げ、米軍を「平時」に合った配置に転換させる姿勢を鮮明に打ち出している。
 それならば、最小規模で海兵隊を17万5千人も擁する必要があるのか。陸軍の兵力を52万人から第2次大戦前の水準となる44万~45万規模に減らす方針とは対照的であり、大いに疑問が湧く。
 敵が制圧した海岸を急襲し、拠点を築く伝統的な海兵隊の戦い方は朝鮮戦争以来、60年以上も実行されていない。空軍・海軍が制圧した後に初めて上陸できるのだ。
 詰まるところ、こういうことか。
 海兵隊は必要性を失いつつあるが、組織防衛に配慮せざるを得ないので、後付けで存続理由を探さないといけない-。
 仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場の代替新基地を造る辺野古埋め立てを承認したことも、海兵隊の大幅削減に踏み込まない根拠にされた可能性もある。
 日本政府がしがみ付いて駐留継続を求め、潤沢な思いやり予算を注ぎ、世界屈指の駐留環境を整えていることも災いしているだろう。
 昨年12月、南スーダンでは反政府ゲリラの攻撃で垂直離着陸輸送機オスプレイが追い払われた。丸腰のオスプレイは、軍事紛争が起きている場所には飛べない。
 普天間飛行場に居座るオスプレイは、岩山だらけの尖閣諸島には兵士も物資も運べない。さらに、米軍再編によって、在沖海兵隊の歩兵の大半がグアムに移ることが決まっている。沖縄への駐留は矛盾だらけである。
 米国内の識者の中でも、在沖海兵隊の不要論が高まっている。海兵隊の戦略配置を、日本の金の力と沖縄への基地押し付けによってゆがめてはならない。