琉球新報活動賞 強い使命感と実行力に学ぶ


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 「一隅を守り、千里を照らす」を実践し、より良い沖縄社会づくりに貢献している人々は輝きを放つ。こうした個人、団体を顕彰する第36回琉球新報活動賞がきょう、7団体、1個人に贈られる。

 受賞者は、乗り越えねばならない壁を創意工夫で克服し、社会に横たわる課題に果敢に立ち向かってきた。その中で地域活性化や助け合う社会づくり、文化の向上に貢献し、後進に大きな糧を残してきた。
 今回から本紙創刊120年を記念して創設された地域振興活動部門で栄町市場商店街振興組合と県闘牛組合連合会、出版文化部門でボーダーインクが受賞した。
 栄町商店街組合は工夫を凝らしたまつりなどを通し、遠のいていた客足を取り戻した。一体感とぬくもりあふれる商店街となり、観光客も多く訪れるようになった。那覇の街に彩りを添えている。
 県闘牛組合連合会は戦後復活した闘牛を守り続け、主催する全島闘牛大会は100回を数えた。女性闘牛士の活躍など観光資源としても注目され、男女を超えて親しまれる県民の娯楽に育てている。
 発想豊かな企画力で硬軟両面の県産本づくりに挑むボーダーインクは450タイトルの本を世に問うた。発掘したライターが人気著者となり、多くの受賞本も出した。境界を超えた挑戦に賛辞を贈る。
 陸軍病院壕の役割や沖縄戦の実相を伝えるガイドを養成する南風原平和ガイドの会(社会活動)の取り組みは、地域から平和を築く大きな力を持つ。「こども医療支援 わらびの会」(同)は、病気と闘う子どもたちと家族の滞在施設を整えている。離島県・沖縄の児童らを支える心強い存在だ。
 ポニーリーグ(中学硬式野球)沖縄選抜チームを世界一に導いた知名朝雄氏(教育活動)は、練習場にも事欠く苦難を乗り越え、卓越した指導力を発揮してきた。「石垣島ラー油」を開発し、「食べるラー油」ブームを引っ張った辺銀食堂(産業活動)は、素材豊かな石垣島の魅力を全国に発信してくれている。
 出演者が手作りで本格的な公演を続けてきた沖縄オペラ協会(文化・芸術)は、県内オペラ界の発展を後押しし、アマチュア合唱のレベルを大いに引き上げてきた。
 地域を愛し、誇り、人をつなぎ、地域の素材を光らせる-。受賞者に共通する人一倍の使命感と熱意、実行力に深い敬意を表したい。