被災地と沖縄 痛み寄り添い支援継続を


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 死者・行方不明者が1万8千人を超え、未曽有の災害となった東日本大震災の発生から3年を迎えた11日、政府主催の追悼式が東京で開かれた。母と妻を失った宮城県の男性は遺族代表としてこう訴えた。「亡くなった人たちの分まで精いっぱい生きていかなければならない。一日も早い復興の実現を望んでやみません」。3年を経過してもなお、被災地の復興が進んでいない現実を重く受け止めたい。

 河北新報が11日に掲載した社説はこう書き始めている。「宮城、岩手の被災地を巡っていて見えてきたものがある。『確かなあした』が見えてこない現実だ」。そして「被災地は焦りを募らせ、被災者は戻らぬ日常に途方に暮れる」と記し、復興の遅れを指摘した。
 今なお約26万7千人が全国に分散するなどして避難生活を送り、宮城、岩手、福島の3県内では10万人近くがプレハブ仮設住宅で暮らし続けている。災害公営住宅は調整段階を含め3県で計2万9千戸の建設が予定されているが、完成したのはわずか3%だ。
 福島民報は論説で「時間の経過とともに震災の『風化』が懸念される。関心や理解が薄れれば、復興に影響が及ぶ」と被災地以外で無関心が広がることに不安を示した。福島民友の社説は「安倍政権は覚悟を新たにし、さらに実効性のある施策を講じてもらいたい」と政府に注文を付け、岩手日報は「避難の長期化で希望が少しずつすり減っていく」と警鐘を鳴らす。
 式典で安倍晋三首相は「復興をさらに加速させることが犠牲者に報いる道だ」と述べた。単に公共事業を進めるだけでなく、被災者が真に日常を取り戻す施策こそ大胆に進めるべきだ。
 震災から4年目に入るのを契機に沖縄から被災地、被災者のために何ができるのかを考えたい。今年2月時点で973人の避難者が県内で暮らしている。アンケートでは多くの人が今後の生活に見通しを立てられないでいる。被災地と同時に、身近にいる避難者への支援も大切だ。
 琉球新報社などが6日に開催した「3・11フォーラム 被災地と共に」に被災地から参加した登壇者は沖縄からの支援の在り方に言及した。「ただ何かをするのではなく、気持ちを被災地にはせてほしい」「痛みに寄り添える人が沖縄にはたくさんいると感じている」との言葉をかみしめたい。