教職員実態調査 負担減らし、ゆとりを


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 公立小中学校の職場環境が崩れている。沖縄県教職員組合(沖教組)が実施した幼稚園と小中学校教職員の勤務実態調査によると、超過勤務は月平均92時間で過労死認定基準に達するほどの劣悪な環境に置かれていることが分かった。「心身ともに疲れている」と答えた人が93%に上っている。

 2012年の病気休職者は406人で、うち精神疾患は170人と過去最多を記録している。教職員総数に占める病休、精神疾患の割合は全国最悪だ。教職員の使命感に頼りすぎて抜本的な対策を怠っていたのではないか。負担を軽減し職場にゆとりを取り戻すことが急務だ。
 背景に、事務処理の多さに加え、過剰な部活動、学力向上対策追われるという事情がある。公立小中学校の教員定数に占める正規教員の割合を見ると、沖縄は84・2%で全国最下位。臨時教員に任せられない仕事が正規教員に回り負担増になる場合もある。
 家庭教育の低下も深刻だ。家庭からのクレーム処理に追われ、親の代わりに教職員が子どもをしつける本末転倒の事態が起きている。生徒指導に時間を割かれ教材研究、採点の時間がなくなり家に持ち込む例が多くなっている。
 月平均92時間超勤しても、給与に関する特別措置法(給特法)は基本的に超勤を認めず、月8時間超勤分の手当しか支給されない。実態に合わない給特法を廃止して教職員にも労働基準法の適用を検討すべきではないか。そうでもしなければ80時間以上のサービス残業で体を壊し、精神疾患が多発する悪循環は断ち切れない。
 沖縄振興予算の政策分野別予算枠は公共事業が3割を占め、本土並みにインフラ整備された1990年代以降も高い水準で固定している。この予算配分を見直し教育分野に比重を移すべきだ。
 県教育庁は「メモ日記」を廃止し、行事のスリム化、家庭訪問見直し、部活動の2時間以内制限などを提言するが効果は分からない。春休みから小学校で補習授業実施など新たな負担も提言しているからだ。
 市町村教育委員会は出退勤時間管理を徹底し、教職員の業務を総点検すべきだ。教職員の負担を減らして子どもたちと向き合う時間を増やせば、授業の質が上がり学力向上対策につながる。教職員と子どもたちの関係を第一に抜本的な多忙化解消策が求められる。